愛知県図書館は、 開館以来の累計入館者数が2016年11月23日(水)で2,000万人を突破したと発表した。1991年4月に開館した同館では今春より25周年記念イベントや特別展示を多数開催していたが、今回の記録達成でそこに華を添えた格好だ。当日には先着1000名限定で記念絵葉書も配布されたという。

日本図書館協会(JLA)の統計によれば、ここ数年の愛知県図書館の年間入館者数は約60万人前後で推移している。これは全国の都道府県立図書館のなかでも上位にランクインする数字で、2015年度では6位に相当する。もともと愛知県図書館は前身である愛知図書館(1959年設立)が手狭になったため新設された図書館だったが、これだけの利用者が訪れているという事実は愛知県の図書館事業が一定の成果を残してきた証左といえるだろう。活字離れが叫ばれる昨今にあって、この数字は立派の一言だ。

一方で、都道府県立図書館の入館者数の多寡だけで図書館行政を評価するのは、必ずしも適切ではない。たとえば、圧倒的な人口を誇るはずの東京都では年間30万人程度しか都立図書館の利用者がいないが、これは市区町村立の図書館が充実していることの裏返しであり、けっして都民の読書量が少ないということではないからだ。

人口あたりの図書館数(2011年)を見ると、愛知県は全国46位という非常に低い数字になっている。入館者2,000万人突破が素晴らしいことに異論はないが、これは「県立図書館に行く以外の選択肢が少ない」という意味でもあることに注意したい。一箇所に蔵書が凝縮されているほうが利便性が高いという見方もできるため、一概にこれが悪いことともいえないが、いずれにせよこの節目を機により良い図書館づくりを期待したい。