東京都・世田谷区にある雑誌専門の図書館「大宅壮一文庫」が18日、記事の検索システムを大規模にリニューアルした。1888年~現在まで、約732万件のデータを一括検索できるようになった。

 「大宅壮一文庫」は、ジャーナリストの大宅壮一が個人的に収集していた約20万冊にも及ぶ古本や雑誌を「雑草文庫」として知人などに公開していたものを彼の死後、1971年にマスコミなど各界の支援で公益法人として開館。その豊富な資料で業界関係者など多くの利用者が存在する。昨年はその貢献を認められ、『第43回日本出版学会賞』特別賞を受賞している。

 テスト版として公開していた冊子版「大宅壮一文庫雑誌記事索引総目録」で1987年以前のデータを統合。スマホやタブレット操作にも対応。検索メニューを一新し、全面的にリニューアルした。88年の索引データ入力開始以前に作成した手書きのデータ100万件を統合。約140年分のデータがまとめて検索可能となるという。

 その膨大で独自の資料を誇る大宅壮一文庫だが、反面、慢性的な赤字経営であるという。2017年には入館料を300円から500円に引き上げた。今回のリニューアルにはそうした実情を打開するため、新規の利用者開拓の狙いもある。

 なお、7月24日から「期間限定ワンコイン(500円)検索し放題キャンペーン」を行う。通常は従量課金(1件20円)で提供している記事索引を、500円の初回登録によって課金無しで2日間検索できるようにする。こちらは12月25日までの期間限定。

 インターネットの誕生から、スマートフォンの普及で誰もが気軽に情報へアクセスできるようになった反面、昨今ではフェイクニュースなどその問題も深刻化している。このような形で一次資料が残っていくというのは希少になっていくかもしれない中、ひとつ歓迎すべき出来事であろう。