住野よるデビュー作『君の膵臓をたべたい』は小説投稿サイト「小説家になろう」が初出。昨年6月に双葉社から出版され、「本屋大賞」2016第2位、「ダ・ヴィンチBOOK OF THE YEAR 」2位、「2015年 年間ベストセラー」6位(文芸書・トーハン調べ)、2016年8月時点で累計発行部数は58万部のヒット作である。

勘違いしている人もいるようだが、グロい話ではない。大人が読むには気恥ずかしい部分もあるが、最終的にはこれ以上なく優しい言葉だと思えるはず。ともあれ、オーディオブック化に続く、待望のメディアミックスである。このままの勢いでいけば映画化まで上りつめるのは既定路線であろうか。どことなく『陽だまりの彼女』と同じような雰囲気を感じる。

そこで気になるのが、「キミスイ」特有の表現方法である。活字が使えるマンガであれば問題ないが、映画化した場合にどうなるだろうか。オーディオブックではそのまま読んでいるだけなのだろうかと、確認しようと思ったが、9時間もあるようなので、これはその筋の方に任せたい。

小説が映画化される時、多くの場合において残念なことになるのが防げない。この作品の場合特に上手くいきそうなイメージが沸かない。映画化する際にはくれぐれもアイデアを絞って頂けるよう、原作ファンは今のうちから声を釘にして刺しておくべきなのではないか。ともあれ、どうやって映画化するものだろうかと確認したくもある。映画「陽だまりの彼女」を一人で見に行って、ラストシーンを残念に思ったあなたも、今度こそは納得したいだろう。