小金井市で借りた平屋の庭一面に、ナガミヒナゲシが咲いた。
帰化植物で雑草として近所でもよく見かけるのだが、
車二台は入る庭をオレンジの花弁が覆いつくす光景は見事だ。
通りを保育園児が散歩しに来て、連れていた保育士が「ほら、きれいだね」って
園児にオレンジ色を伝えている。
褒められた花弁は、風に吹かれて揺れるだけ。
やがて花は枯れ、種子の時期が訪れる。
ナガミヒナゲシは弾けるような音をたてながら、
種子を飛ばし始めていた。
縁側から眺めていると、種子の絨毯を踏んで歩く野良猫の姿が。
野良猫はもうすぐやってくる冬に、くるまる毛布を探しているのだろうか。
次の年に、また庭をナガミヒナゲシが敷き詰めることはなかった。
瞼の裏に焼き付いている、あの見事なオレンジ色の花弁で
通りすがりの人の目を惹いていたのが、まるで昨日のことのように思える。
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