友達の伊藤君

小林TKG

小説

3,897文字

こないだやってたHな小説に書いたんですけども、ダメでした。で、どうしようかと思ってたんですけども、破滅派さんだったら内包してくれるかなと、っていうか、先日の合評会で助言をいただいたんで、あ、じゃあそうします!っていう事で。はい。投げます。

放課後、教室に戻ると友達の伊藤君がいました。
「よお」
伊藤君は自分の席、窓際の席に座っていました。他には誰もいない、もう皆帰った後の教室でした。そこに伊藤君が一人でいました。窓の外はすっかり夕空になっていました。教室の中はオレンジ色に光っていました。伊藤君の席の斜め前の窓が開けられていました。風がカーテンをパタパタとはためかせていました。風から少しだけ潮の匂いがしました。学校の裏、松林を抜けて少し行くと、海があるからです。
「帰らないの」
僕は伊藤君に聞きました。放課後まで残って何をしているんだ。そういうことをです。
「まあ、座れよ」
伊藤君は、自分の席に座ったまま、体だけをこちらに向けて言いました。
「座らないよ。もう帰るし」
体操着を脱いで、ナップサックに入れます。持って帰って洗わなくてはいけません。それから制服に着替えます。そのワイシャツを着た辺りでした。
「まあ、座れよ」
伊藤君がまた言いました。お前はなんでまだいるんだよ。僕は言いました。もう帰れよ。そう言いました。僕はそのあいだ伊藤君の方を見もしませんでした。でも、
「なあ、座ってくれないか」
次にそう言われて。今さっきと言葉の感じが違ったので。声も。なんか違って。感じが。さっきとは。僕は思わず伊藤君の方を見てしまいました。オレンジの逆光の中でこちらに体を向けた伊藤君は、何か、
「なに、なんだよ」
何か、哀願でもするような顔をしていました。
「お前にだけ話しておきたいことがあるんだ。だから一回座ってくれないか」
何でだよ。僕にだけ話しておきたいってなんだよ。何だよそれ。もう疲れてるんだよ。帰るんだよ。
「何よ、何がよ」
僕は座っていました。なんか、なんとなく、なんか、なんでかわからないけど。
「自分の席にじゃなくて、もう少しこっちに座れよ」
伊藤君と僕の席は離れています。僕は廊下側が自分の席です。そこに座りました。窓際の伊藤君とはまあ、離れています。話をしたり、何かをする、一緒に過ごす時は大抵どっちかの席の側に行って、そこで立ったり座ったりして懇談します。
「そこに居たんじゃ、話も出来ないだろ」
伊藤君は少し余裕がない感じでした。いつもだったら、おいおいおいお前。位の事は言うのに。
「何よ、何すか」
仕方なく、伊藤君の席の近くの席に座りました。そこが誰の席だったかは覚えていません。自分とは関わり合いのない人間の席です。
「何を話すんだよ」
ラインでくれよ。ラインで見てから考えるよ。伊藤君は僕の事をじっと見て、
「何」
「俺、昨日、上村陽葵とセックスしたんだ」
そう言いました。
「えええ」
驚天動地。
「ほら、やっぱり驚くだろ。なあ。なあお前、なあ」
伊藤君はテンアゲしていました。何かこう、それをようやく吐き出せたみたいな。そういう感じでした。
「セックスって、お前、何、陽葵と交流あるのか」
上村陽葵というのはこの学校に在籍している有名人です。現在三年の彼女は卒業と共に東京に出てアイドルをやるんだそうです。なんとかっていう事務所に写真と履歴書送ってそれでなんかの大賞になったとかで。学校では常にそれに類する話題が落ちています。どこぞかしこぞに落ちています。女子の皆さんは面白くないようです。まあ、当然かなとは思います。今すごく話題の人です。有名人です。自分や伊藤君には関わり合いのない位の有名人です。一部の例外を覗いて男子は全員興味ない風を装っていますが、この学校の男子は全員アイドルになると決まった彼女を使って自慰行為、オナニーをしています。僕も。伊藤君も。みんなしています。勃起したちんちんを半口開けたあほみたいな顔して扱いています。ゴシゴシと。換気扇の油汚れをとるみたいに。ゴシゴシと。それなのに、
「セックスって。なんで」
お前、絶対に関わり合いのない部類の人間じゃん。交わる事のありえない人間じゃん。何。なんで。
「兄貴の家に母親が作ったものを持って行った時に居たんだよ」
伊藤君は言いました。何それ。伊藤君のお兄さんは大学生で、もう家から出ていてアパートで暮らしています。まあ、そうは言っても近くなんですけども。公園を、大きな公園を抜けたところにある税務署の近くのアパートに。
「そこに居たの」
陽葵が。居たの。
「居たんだ。そこに。居たんだほんとに」
伊藤君はしっかりと僕の目を見てそう言いました。この学校に滞留する、彼女、陽葵に関する噂の中の一つに、
『上村陽葵はヤリマンだ』
というのがあります。何処からそういうものが出てきたのかはわかりません。でもあります。本当にあります。
「噂に違わない感じなんだな」
「これ、これ見てくれ」
伊藤君はそういうとスマホを出して、一枚の写真を見せてきました。それには陽葵と伊藤君が一緒に写っていました。
「これは……公園の、多目的トイレか」
その写真の中で、伊藤君と陽葵は、
「そう。そうなんだ。俺も慌ててさ、荷物だけおいてすぐに家に帰ったんだ。そしたら、その、追ってきてさ、陽葵が一人で来てさ」
伊藤君は記憶を、その時の記憶を噛みしめるような表情をしていました。
『ねえ』
『お願い』
『この事は内緒にして』
『内緒にしてくれるって約束できるなら』
それから、伊藤君は公園の多目的トイレに連れていかれて、そこで陽葵とSEXをしたんだそうです。伊藤君のギンギンにおっ勃ったチンポに陽葵は口でコンドームを付けてくれたそうです。そんで立ったままトイレの中で、
『そこじゃない、もう少し下』
って指示を受けながら、SEXをして、その状態を伊藤君のスマホで写真撮って、そんで、それで、それから、
『じゃあ綺麗にしてあげるから』
っていって、口でチンポを、しゃぶって、フェラチオ、フェラ、オーラルセックスまでしてもらったんだそうです。
「最後さ、陽葵がさ、洗面台で口を洗ってから、頬にさ」
伊藤君は言いました。
『じゃあ、約束だから』
ってキスしてもらったんだそうです。
「うああああ……」
伊藤君はそこまで話終えると、両手で顔を覆い、全身を弛緩させて、伸ばした足先を小刻み痙攣させました。
しかし、話し終えた伊藤君の下腹部はそんな状態なのにすごく、著しく、服の上からでもにわかる位、すぐにわかる位、
「ねえ、伊藤君、勃起している」
伊藤君は勃起していました。それはもう、それはもう勃起させていました。思い出し勃ちです。
「それでさ」
伊藤君はまた全身に力を込めて自分の形を形成しました。自分の顔から手を離して僕に向かって言いました。僕が下腹部の勃起を指摘したことに対してはノータッチでした。
「上村陽葵とSEXしてしゃぶってもらった俺のチンポ見たくないか」
伊藤君は言いました。
「はぁあ」
最初何を言っているのかわかりませんでした。チンポを見たくないか。って言ったのか。お前。
そんなもん。
そんなもんお前。
でも、それでも、でも、それは、伊藤君のチンポは、それは、ただのチンポじゃありません。ただのチンポじゃない。ただのチンポじゃないんです。だってチンポくらいは僕にもついています。僕もその時、まあ結構半勃ち、いや全勃ちしていましたけども、でも、チンポは僕にもついています。ただのチンポは僕にもついてます。ただのチンポは。
「なあ、見たくないか。お前だから言ってるんだ。俺は」
伊藤君は言葉尻に力を込めました。
伊藤君のチンポは。その時、その時の伊藤君のチンポは。それは。ただのチンポじゃない。ただのチンポじゃないチンポ。上村陽葵の膣に、まんこに入ったチンポ。アイドルになる。三年の。卒業したら東京に行ってアイドルになる。この学校の男子の誰もが彼女で自慰をした。してる。精子を吐き出した。自慰の、オナニー対象の。オナペットの。更に口で、陽葵の口で。アイドルになるんだったら歌とかも歌うのかな。歌うんだろうな。踊るんだろうな。歌って踊るんだろうな。ハキハキとあいさつとかもするんだろうな。自己紹介とか。
『はい、上村陽葵です』
その口で。しゃぶってもらった。上村陽葵のまんこと口に入った。その、チンポ。
「見たいよ」
僕は言いました。気が付けば教室はもう薄暗くなりつつありました。夕日がもうすぐ海に沈むのでしょう。既に残照ほどの、もう暗くなりつつありました。夜になりつつありました。
僕は言いました。
「見たいよ」
上村陽葵のまんこと口でしゃぶってもらった伊藤君のチンポ。勃起チンポ。見たいよ。
「わかった」
伊藤君はそう言うと、すぐに立ち上がってズボンとパンツを下ろしました。押さえつけていた布を厭うように、パンツを下げた瞬間、ぶるんとチンポが出ました。伊藤君の勃起したチンポでした。
「昨日か。本当に昨日」
「昨日だよ。見ろ、ほら、写真。日付が出るだろ」
伊藤君のスマホの写真を確認しました。昨日の日付が出ていました。
昨日。昨日上村陽葵のまんこと口に入ったチンポ。
伊藤君のチンポはどくどくと、興奮を表すかのように脈打っていました。皮は剝けて、カリが乗っています。中央の穴から透明な汁が少し出ています。チーズのような臭いにおいがしました。
「風呂に入ってないんだ。SEXした後のそのままの状態のをお前に見せたくてさ」
伊藤君は言いました。
「これが、陽葵のまんこと口に入ったチンポ」
赤紫に勃起してる。
「しゃぶってくれないか」
伊藤君は言いました。
伊藤君を見ました。薄暗い教室の中で伊藤君は顔を赤くしていました。
「お前にしゃぶってもらいたいと思ってたんだ」
ずっと。
そうか。
わかったよ。
僕は伊藤君のチンポを咥えました。アイドルになる上村陽葵のまんこと口に入った伊藤君のチンポです。それをじゅぼじゅぼと音をさせてしゃぶりました。

 

2023年3月30日公開

© 2023 小林TKG

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"友達の伊藤君"へのコメント 4

  • 投稿者 | 2023-04-02 16:57

    なんか声出して笑ってしまいました。青春と友情バンザイ。

    • 投稿者 | 2023-04-02 19:03

      感想いただきましてありがとうございます。
      エッチなものを書くという事で、こういうのがいいのかなあって思って書いたんですよねー。
      全然でしたけどもwww

      著者
  • 投稿者 | 2023-04-03 12:56

    いやあ、期待以上に面白かったです。
    いわゆる青少年が好きな方向のエッチではないのかもしれませんね。

    • 投稿者 | 2023-04-03 21:25

      どうでもいいですけども、こわだった部分は『陽葵』っていう名前です。
      昨今の女の子につける名前一位らしいですよwww
      どうでもいいですけどもwww

      著者
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