埼玉会館降車者乗車者凹す会

小林TKG

小説

1,250文字

時間に追われてる時に、バスに乗ってて思いつきました。

ある日の事だったかな。確か。多分。ある日っていつの事なのかわからないけど。

桜区役所から浦和駅行きのバスに乗ったんだ。バスはいいよね。本当にいいかどうかはわからないけど。でも、いいって言っておいた方がいいじゃん。なんでもそうだけど。

そんでそのバスでさ埼玉県庁まで行ってさ、いよいよ後は埼玉会館、その次は浦和駅西口っていう所まで行ったんだよ。その時今日は埼玉県庁で降りる人多いなあってちょっと思ったかな。どうだろう。いや、何も考えてなかったかも。後付けかもなあ。

 

そんでバスが次は埼玉会館ってなってさ、埼玉会館の前まで行ってバスが停まったんだ。そしたら外に大勢の人だかりが出来てたんだよ。ちょっとした集まり、集いみたいにさ。でも埼玉会館ってさ、埼玉会館っていうバス停の次はもう浦和駅西口だからさ、普段そんなにバス待つ人いないんだ。だから驚いたよ。

 

で、更に驚いたことに埼玉会館で降りたバスの客がさ、外で待ってた人に、降りた瞬間だよ、降りた瞬間。ぼこぼこにされ始めてさ。でも、誰も何とも思ってないというか、バスの中はね。自分だけだったかなあ、あの時驚いてたの。

 

んで、そのままバスは発車して、外で人がぼこぼこにされてるのを横目にさ、発車して浦和駅に向かったよ。でも発車してからも自分はずっとぼこぼこにされている人を見てた。窓越しに。誰も彼もみんなぼこぼこにされてた。人ってぼこぼこにされる事あるんだって思った。グーパンとか、傘とかでぼこぼこにされてさ。

 

んで後でネットでさ、電車に乗ってる時スマホで調べてみたら、

「先行き不安、コロナも終わらない、ロシ×ウクの戦争も終わらない、物価だけ上がる、給与賃金は上がらない。こんな世の中ですから、せめてもの気晴らしとして、埼玉会館で降りる、あるいは乗車する方はぼこぼこにしてもいいという事になりました」

って書いててさ、会社の、バス会社のホームページに。でかでかと。最初のページに。でかでかとそう書いてあってさ。

 

なんでだよって思ったけど。でも笑った。電車の中で読んでて噴き出しちゃたよ。恥ずかし。周りの人にじろじろ見られたよ。ホントに。参ったよ全く。

 

あと、帰りも同じバスの下りっていうのかな、あるいは上りかもしれないけど、に乗ったんだけど、埼玉会館で乗車した客が、別所沼の所のバス停で降りたんだけど、そこでぼこぼこにされてた。なんか、乗った瞬間情報が飛ぶのかなああれは。そういう風に出来てるのかな。知らないけど。で、その時も笑ったわ。あと電車と違ってバスの乗客はみんな自分と同じように笑ってたね。家族でディズニー映画観るみたいな感じで。にこにこ笑ってたね。だから、自分も遠慮せずに笑えた。無言でうんうんって知らないもん同士なんだけど、なんかね、カルガモの親子が道路を横断しているのを見てるみたいな感じでニコニコ笑い合った。

コロナが無かったら握手したり、抱き合ったりして、喜びを伝えあったかもしれないなあ。

2022年7月6日公開

© 2022 小林TKG

読み終えたらレビューしてください

この作品のタグ

著者

この作者の人気作

リストに追加する

リスト機能とは、気になる作品をまとめておける機能です。公開と非公開が選べますので、 短編集として公開したり、お気に入りのリストとしてこっそり楽しむこともできます。


リスト機能を利用するにはログインする必要があります。

あなたの反応

ログインすると、星の数によって冷酷な評価を突きつけることができます。

作品の知性

作品の完成度

作品の構成

作品から得た感情

作品を読んで

作者の印象


この作品にはまだレビューがありません。ぜひレビューを残してください。

破滅チャートとは

"埼玉会館降車者乗車者凹す会"へのコメント 0

コメントがありません。 寂しいので、ぜひコメントを残してください。

コメントを残してください

コメントをするにはユーザー登録をした上で ログインする必要があります。

作品に戻る