罰のような事

小林TKG

小説

1,432文字

昨日、実際そういう事になって血が出ました。

昨日、いつものバスをいつもとは若干違う所で降車する際、もう夜で暗かったのもあるかもしれないし、あとやっぱりいつもとは違う場所で降りたのが影響したのかな。どうなんだろう。

降りる際にすっ転んだ。

地面が見えなかったのか、あるいは階段とかでもう一段あると思ってたら無かった時の人間工学みたいなのが出たのか、わからないけども、とにかくバスを降りる際にすっころんで、両膝が地面と接地したし、あと手の甲を、右手にsuicaを持ってて、だからそれを守らなくてはっていう気持ちが優先されたんじゃないかと思うんだけど、咄嗟の事だからどうだったかわからないけども。

とにかくそれで手をついてしまって、右手の甲で自分の体を支えるみたいな感じになってしまって。で、中指と薬指と小指の第一関節かな、その辺をマッチをするみたいに地面に擦ってしまった。

血が出た。

幸いにして手首を根元からぶち折るとかそういう事にはならなかったけど、でもアルコール消毒したら糞ほど痛いくらいの擦り傷、関節の横の線と十字になる感じの傷を何個か作った。

「いだっ」

ちなみに転んだ瞬間口から出た言葉はこういう感じだった。馬鹿みたいな事故で馬鹿みたいな言葉。馬鹿みたい。

ただ、なんというか、その時、不思議と狼狽はしなかった。

いつもだったらもっと狼狽しているのに。恥ずかしくなったりしてるのに。

その時はそれが無かった。寧ろ私はその時、なにかこう、自分の中で腑に落ちていた感じがあった。

先日、破滅派におばあさんという話を書いた。

バス停で待ってたら横から来た死にかけのおばあさんが待ってる列に並ばずに一番にバスに乗り込んで、その事に憤慨した私がおばあさんを、死にかけのおばあさんを、石で殴って殺す夢を見るという話。

で、

その話では一切書かなかったけど、そのおばあさんとの邂逅の後、おばあさんという話を書くまでの間に、もう一つおばあさんとのエピソードがあって、勿論この撲殺対象のおばあさんとは違うおばあさん。

そのおばあさんはすでにバスに乗ってたおばあさんだったんだけども、そのおばあさんがあるバス停で降りる際転ばれたんです。で、一応無事みたいだったんですけども、でも私はそれを助けもしなかったんです。

前に人が居て咄嗟に助けられなかった、動けなかったとか、そんなのは言い訳です。

私はただその光景を見ていました。

最低でした。

んで、そんな人非人で最底辺の私が、そんな人非人で最底辺の癖に、列に並ばないで横から入ってきた死にかけのおばあさんを石で殴って殺すなんて話を書いたから、だから、昨日、バスから降りるとき転んで、手から血が出て、両膝も地面にしたたかに打ち付けて。

 

でも、不思議と府に落ちたような気持ちで、狼狽も動揺もしませんでした。

 

「これは罰なんだろうなあ」

あんな話を書いた。人非人の癖に。列に並ばずに横から入ってきたあの死にかけのおばあさんも人非人だったのかもしれないけど、でも私もそうなんだよなあ。それなのにおばあさんを殺すような話を書いたから。

 

「これは咎みたいな事なんだろうなあ」

って思って、私は血を流しながら不思議と腑に落ちたような気持ちになったのです。

 

その後姉にその話をしてみたら、

「気持ちわりい」

と言われました。

 

そういう考え方、縁とか、罰とか、巡り巡ってくるとか、そういう考え方が気持ち悪いそうです。宗教みたいで。っていう事でした。それを受けて私はへらへらと笑いました。

2022年6月17日公開

© 2022 小林TKG

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