ペットのアナコンダに絞められた祖母が語る、一族の重大な秘密

島田梟

小説

14,283文字

内容=タイトル。

アナコンダのジョセフとマーガレットおばあちゃんの仲の良さに注目してください。

ああ、私のかわいい孫、どうかこれから言うことを聞いて頂戴。いいの、レスキュー隊なんか呼ばなくて! これは私の自業自得、プリティーナイスガイのジョセフを甘やかしてしまったからなの。人間でもそうよね、厳しくしつけないと、まともにはあああああ!なれない。でもジョセフはヘビなの。わかる、マイケル? 犬と違ってお手ができないのよ、そう、お手が。お手ができない動物を完璧に手なずけようなんて最初からむりな話。

はううう……ぎゅっと絞られて、え、なに? おばあちゃん耳が遠いからね、もっと、ダメダメダメ近づいちゃ! もっと、大きな声で! え、じゃあなんで飼えてたのかって? それはきっとジョセフに対する愛が強かったからでしょうね。ちょうどあれは今日みたいに雨の日だった。私は数か月前にジミーを亡くしてすっごく落ちこんでた。あなたもおじいちゃんとよく遊んでもらったわよね? 覚えてない? はあ、物覚えの悪さは母親ゆずり……いいえ、マイケル、なんでもないの。マイケルとジョセフがいて、おばあちゃん本当に嬉しいの。で、ええと、うっ! うっ! そうね、出会いの話。あなたのお母さんがね、ペットを飼ったらって言ってくれたの。たまには役に立つのよね、誰がとは言わないけど。お母さんは犬とか猫なんてどうですかなんて言ってたけど、却下したわ。だってありきたりだし、毛むくじゃらでしょ? 私、毛むくじゃらは嫌だって言ったの。私がマイケルくらいの年のころに私のお父さん、ということはあなたのひいおじいちゃんね、そのお父さんがマーガレット、ちょっとリンゴの木を見てきてくれないかってこう言ったの。おばあちゃんのお家は、それはそれはお屋敷みたいだったのよ。こんなドールハウスじゃなくってね。

それでお父様わかりましたわ、なんておしゃまな口の利き方してね、スカートのフリルをふりふりさせてグギギギギギ、リンゴ、の、木でっ、グッ、食べられそうなおいしィィィリンゴっを探してたの。お父様のグ、ギ、お父様の、お父様、かっはっ……ジョセフ、首はまだやめて! そう、もっと下を、ぎゅっと……そういい子ね。そりゃ、ふざけて私の顔でとぐろを巻いたことは一度や二度じゃないけど、間違いない、今日は殺しにきてる。あなたたちいまどきの若い子たちの言葉を借りれば、マジのガチってやつね! だって抱擁の力加減がいつもと違うもの。いつもならもっと、死んだジミーのように優しく腰に絡みつくだけだったわ。でも今はランチの食べのこしを全部無視してカーペットの上にいる私をバリバリと締めつけているんだから! でもなぜかしら、そんなに悪い気はしない。

まあもう、ひいおじいちゃんのことは大叔母さんのジャクリーンに聞いて。え、ジャクリーン大叔母さん知らない? 私のスマホに写真あるから見て頂戴。サイドボードにあるわ。ジョセフのしっぽが当たらないようにそーっとよ。そう、いい子ね。じゃあ離れて、マイケルが操作して。今のジョセフはとっても危ないから。パスコードはあなたの誕生日。開いた? じゃあアルバムをずっと上までスクロールして、このまえの結婚式の写真を出してくれる? ロバートとレイチェルの、そう、それ。ふふ、みんな写ってるわね、二段目の左からビール腹のジョン、万年水虫オールドミスのアガサ、泣き虫のスコットに、オレゴンのじゃじゃ馬ポーラ、の横にいるのがジャクリーン大叔母さんよ。そうそう、拡大すれば、ほーら赤ら顔の刈り上げヘアのお出まし! ジャクリーンはね、いっつも血の気が多すぎて、むかし脂肪吸引しようとしたらっ! お医者さんんんんにっ、言われたのよ。ミセス、失礼ながら申し上げるとお脂肪を適切な分量お取りになるまえに血の方がすっからかんになりますよって、アハハハハハおかしぃぃぃぃ!

せっかちなジョセフ、あわてなくても、私はあなたのもの。あなたの体に、入って、溶けて、吸収されたらどんな気分なんでしょう? マイケルはわかる? そうね、さっきのジョークも笑えなかったんだもの、難しすぎたわね。スマホはもういいから置いときなさい。

それにしてもきついわ……愛は束縛って言うけど、骨までくる。首はもっと小さくてかわいかった、ちょうどこれくらい……左腕が動かないけど、まあ一メートルくらいね。あなたのお母さんは苦い顔してたけど、マーガレットおばあちゃんはね、若いころは政治に興味があったの。きっと大学でつきあってたラーカスの感化ね、彼ったらデモとか集会があればなんにでも首つっこんでね。私は私で、手伝うって言うよりも、根回しして意見をまとめるのが好きだった。それでついたあだ名がロビー・マギー。あら、マイケル笑ったわね? もうジョセフまでご機嫌になって!

最初はうちでも猫にしようって話になってたわよね? あれをひっくり返したのはロビー・マギーだったのよ。ウッ。親戚から外堀を埋めていってね、ほらレニーおじいちゃんいるでしょう、お母さんのお父さん。あの人、私にぞっこんなの、男やもめになってからずっと。このさいだから言うけど、とんだエロジッジイよ! 自分の奥さんのお葬式で、糸杉に私を呼びだしたの。私はアガサがかゆいかゆいって水虫の話に飽きてたから、おかしいなんて考えもせずに、おぼこ娘よろしくほいほいついていったわ。マイケル、おばあちゃんね、ダメ男アンテナを持ってるの。ダメ男がいると頭でビーーーッてエエエエ!鳴るんだけど、その時はさっぱりだった。幹にもたれかかったレニーは私が来るなり、手を握って七ドル二十四セントの手袋にキスしたわ。片方だから三ドル六十二セント? 合ってる? 正解? ブッブー? ああ、ごめんなさい、あなた計算不得意だったわね。あなたのお父さんも小学生のころからそっち方面はからきしでねえ、まったく誰に似たのやら。きっとジミーよ、絶対そう。

ジョセフ、姿勢を変えていい? 脚が曲がってて窮屈でしかたないの。ここよ、あなたのでっぷりしたウェストをちょっとまえに動かすだけで……グッボーイ、グッボーイ、グッ!ボーイ。いいえ、締めろとは言ってないわ。ゆるめなさい、まだそのときは来てないわ。ふう、陰ヨガみたいな座り方ができるようになった。これも正直きついけど。ん、どうしたのマイケル? 窓の外の、ちょっと体がねじれなくて、ああ小屋。ジョセフの小屋。頭いいわねえ、マイケル。マスはダメでもエスプリがあれば世渡りできるわ。これ、私のひいひいおじい様の言葉らしくてね、それをおじい様が聞かせてくれた、一言一句そのまま。太っちょのヘルメスみたいに遅い伝達よね。

えっ?

あー、はいはい、ハウス。ジョセフは今も賢そうな顔してるけど、子供のときから人間みたいな、こう、なに? キレイでつぶらなお目々。ははっ、やめてくすぐったい! 首弱いの知ってるじゃないのあなた。ステイ、ステイ! あら、舌を引っこめたわ。じゃあシット・プリティ、ガハッ! これはノー、ノー! 今のはなし。マイケル、あなたのアイディアはイカしてると思うわ。でも窓を開けようにもジョセフの体が邪魔で無理そう。私も手が届かないし。ふん……ふん……玄関から? そう上手くいくかしら、やってはみるけど。他ならぬ孫の頼みを断る鬼畜なんて私の心のなかにはどこにもいやしません。

ほら、ジョセフ。ルック、ルック、ご主人様を見て、ハウス! そうれ、ハウス! あなたのお家にお帰んなさい、さっ早く! ……動いた。ねえ動いたわよね? お腹のあたりがピクッて。私のコマンドわかる? ハーーウーースーー!

スー……スー……。ハー。大丈夫よ、マイケル。ちょっと臓器がキュッとなっただけだから。いちおう窓の外は見てるみたい。まあ、あそこもここもハウスと言えばハウス。私の言うことならいつでも聞いてくれたのにね、ごはんの時間以外は。

私が甘やかしすぎたのかしら。しつけはきちんとしてきたつもりなのに、どこで間違えたんだろう? 最初のころは確かに甘やかしてたわ、こんな風に。用もないのに、冷えきった肌をなでてね。あら、ごめんなさいね、古傷がまだ痛むの? よしよし。

マイケルもそう思う? でもね、私なりに最善は尽くしてきた。散歩中にちょくちょくリスをまじまじ見てる時なんか、この子末恐ろしいと思ったもの。さすがの私もこれじゃいけないって、潮垂れたマインドというお尻にムチをくれてやって、エリックのところへ相談に行ったの。さすがにエリックのことは覚えてるわよね。ほら、あの、あれよ、ニンテンサムシングのゲーム機を買ってくれた。そうそう、珍しい動物を飼ってる叔父さんのヘリック。ヘ。ヘって言った今? 違う違う、ヘリックはあなたのお母さんの職場の同僚でしょ? ものすごーく、親密な、同僚の。私が言ってるのはエリック叔父さんよ、去年のクリスマスにサンタさんやってたじゃない。え、ヘリックだと思ってたって? マイケルったらもう! あんなことがあってヘリックがうちの敷居またぐわけないじゃない、やだわほんとに……よく来てるって? それはおばあちゃん知らなかったわ。

とにかく。私とジョセフのなれそめはエリック叔父さんのパークだったのよ。アナコンダ以外にもダチョウやらなにやら飼育しててね、あなた見たことある? ないならいいわ行かなくていい。気味が悪くてツバを飲みこむのも吐き気がする感じで……ああこういう時じゃじゃ馬ポーラならずばりドンピシャなたとえをしてくれるんだけど、最近ポーラ、株を始めてからよそよそしいのよね、目もこう、ドロッとしてて……まるであれは八月の宵に月明かりで照らされた沼のように?……ふーん、悪くないわね、どこで覚えたの、そんなキザな言葉。ヘリックがね、そう、ヘリックが。

ヘリック! アッ、ウグッ! ほらジョセフもあいつが嫌いなのよ。よりによって天使みたいなプリティーボーイのマイケルが詩に毒されるなんて。おばあちゃん、ちょっとは詩をかじってたことあるのよ。スウィンバーンとかキーツとかリルケとか。おじいちゃん? あれはちぃぃぃぃぃっともげぇぇぇじゅつなんかぁぁぁぁ、フン! わかりゃしなかったわ。オートミールのスペルすら間違えるまぬけ。ねえジョセフ、あなたもそう思うでしょ?

ああ……やめて……チロチロしないで。

そう言えば洗礼の話はしたかしら? あなたじゃなくて、あなたはしなくていいの。ジョセフの方だってば。実はエリック叔父さんが提案してくれたんだけど、あれはおもしろかったわ。ヘビが悪さするのは聖書のアレをナニしたことで濡れ衣着せられて怒ってるかららしいの。でもちゃんとクリスチャンにしてあげたら、ヘビもまともになるんだって。そこで叔父さんの名言、ヘビは人間になれないが、クリスチャンにはなれるが飛びだしたってわけ。まあ洗礼って言ってもここでやったんだけど、あなたたち三人で旅行行ってたから知らないでしょ。私を置いて、よくもまあ。それはまだいいんだけど、アリゾナでグレートキャニオン観光とか精神的貧しさが炸裂してるわ。なんで誰か一人落ちなかったのかしら……冗談よ、冗談。私はジョセフのまえだと嘘は言わないの。ねえ、そうでしょ?

ぐふっ!

……それに引きかえエリック叔父さんは感性が豊かよね。あれでダチョウとかきたない動物飼ってなけりゃ、一族一番の色男なんだけど。お父さん? エドワードは可もなく不可もなくってとこね、あの子はアベレージマンだから。それでエリックは大きなタライを抱えて、おはようございますロギー・マギー、本日はジョセフちゃんの出張洗礼に参上つかまつりましたって言ったの。それで私が、あなた世が世なら火あぶりよって言ってやったわ。どう返したと思う? このとおりポーランドから汲んできたミネラルウォーターがわんさかございますので、足の指がミディアムレアになるくらいで済みますよ、ですって! ハハハハハ痛たたた……ジョセフったら、あれ、さっきと変わってない。ということはあばらがやられたのかしら。……ありがとう、マイケル。やさしい言葉がとっても胸にこたえるわ。でもね、牛の肋骨を野ざらしにしたって雌牛なんかできやしないわ。学校の課題でユニークですねって先生にほめられてたけど、もうすこし配慮が欲しかったわね。なんでかって? それはもうよしましょう。今は洗礼の方が大事。わかる? さあ、エリックを迎えいれないとね、ずっと棒立ちじゃかわいそうだからね。

金ダライとペットボトルをドンと置いたのね、ちょうどこの、今はめちゃくちゃになってるけど、このテーブルにね。エリックは本当に物知りでユーモアのセンスもピカイチ、あれでマシな娘が寄ってこないのは世界七不思議のひとつよね。三ドルもするボトルを十何本も開けて、タライはプールみたいに。そのあとエリックは聖書がないから、家にあったウェブスター辞典を持って神父様になってジョセフに訊くの。シューシューシューって。それだけで汝はキリストを愛するかって意味になるみたい。あれはいつ思い出しても笑えるわ。

だからヘリックはその辺に捨てておきなさい!

ジョセフはね、首を持ちあげてペロペロ舌を出してうなずいたの。私の両手はふさがってたから写真撮れなかったけど、このマーガレット一生の不覚なりって今でもちょっぴり後悔してる。それがまあこんなにたくましくなっちゃって。牙なんかもすごくセクシー。ジミーの犬歯は尖ってなくて触る気にもなれなかった。

あら、やっと興味を持ったの? 次はって言ってもジョセフを水に沈めてクリーニング、でおしまい。エリックが十字を切って洗礼名を授けてくれた五年まえのあの日、この子はジョセフ・プラエプチウム・スタインになったの。意味は、知らない。でもきっとラテン語だから良い意味に決まってるわ。ねえ、ジョセフ、あなた元気に泳いでたじゃない? そこからさっと取りあげると全体がキラキラ光ってね。たぶんお日様も祝福……キラキラ……あの光……うぐぎぎぎ! 寝てない、油断もしてない! ジョセフ、オフ!

はあ、人生最期の日になるかも知れないのに、嫌な連想しちゃった。なんで光るジョセフでレニーのぬらぬらぬめぬめした唇が出てくるのよ私の頭! 違う、噛めって意味じゃない! しっかり聞いてね、マイケル。レニーおじいさんは、見た目はまあまあだし、大学時代アメフト選手として活躍はしてましたけどね、フリーになったとたんうるわしい未亡人を誘惑するなんて、あなた、あれほどのふしだらをマーガレット・スタインは見たことございません! 手袋から糸引いてたのなんか思いだすだけで鳥肌ものよ。あの男がなんて言ったか教えてあげましょうか? ああ、マーガレット、君はあの男から解放されて一段と美しさに磨きがかかったようだ。喪服からのぞく首や手首、ストッキングから透けるふくらはぎ、その他もろもろ、なにからなにまでルネサンス絵画のごとく肉感的で官能的だ。それに比べりゃ僕の妻なんざ、古代ローーーーマのマンホーーーールの蓋だよ! なんでむやみやたらにOを伸ばすか知らないけど、おばあちゃん言ってやったわ。ぶしつけな言い方になりますけどね、ベイトソンさん。私はジェームズと夫婦の契約を交わしたこと、後悔なぞしておりません。酒にだらしなくて、仕事が煮詰まるとすぐに赤ちゃんごっこを始める、総じて甲斐性なしの男でしたけど、あなたのように無節操ではございませんでした。なのにあなたときたら欲望全開、数多の死者が安らかな眠りにつくこの場所で、あなたは私の肉体を好きなだけまさぐりたい、むさぼりたいとおっしゃるのね? あさましい! この時ちゃんとスカートを押さえてね、こうやってエレガントに、ってちょっと今はジョセフの関係でできないけど。断じてめくらせてなるものかって気迫をこめたのよ。

あさましい!の次は恥知らず!と罵ってやったわ。私、以前奥様から告白されました、ベッドの上でのあなたの悪行三昧を。人に言えないご趣味をお持ちのようね?

あわわわわ!

違うのマイケル、これはレニーおじいちゃんのまねよ。みっともなくてねえ。こーんな顔で! ああでも写真はやめて、それを下ろして。そうそう、それで匂わせておいて、ベッドの悪行三昧を……教えてくれって? マイケルにはまだ早いわ。だってジュニアハイスクールにも通ってないじゃない。どうしても? じゃあ言うけど、ラバースーツを着て、掃除機で吸われるのよ。空気がなくて苦しいって。それがクセになるみたい。ちなみに、調べたらいけませんよ。あなたの年でそんな知識持ったら道を踏みはずすどころじゃなくぐぐぐなるわって、え? 知ってる? ちょっと待って。お馬さんやロウソクも知ってるって? へええ……誰がそんなことを。当ててあげましょうか、ヘリックでしょ、絶対そうよ。はあ……できれば当てたくなかったけど、変態系の言葉聞いてピンときちゃった。ほめられても嬉しくない。オーマイ……あの脳みそオートミールめ。そもそもだけど、あの男どのタイミングで来るの? ……そういうことね、はいはいはい。みんなが寝しずまってから、ガレージのところでお母さんとなかよくしてるの。ふーん。ジョセフを警察犬みたいにしこんでおけば、あいつがうちの敷地に足を踏みいれたら最後、ガブッてやらせるのにね。ホールド!ってイタタタタタ! ドロップ!

噛み跡ついてない? こめかみにちょびっと? ねえ、ジョセフ、あなた私の言うこと聞くのか聞かないのか、どっちかにして頂戴。チロチロしたってダメよ。そんな顔してもダーメ。私はそこいらの安物肉とは違うの。やる時はひと思いに丸のみにしてもらわないと。そう、いい子ね、よしよし。ジミーもこんな感じで甘えてきたっけ。まあ向こうはきたないだけだったけど。マイケルのお父さんもね、そういうところがあった。四歳くらいの時だけどママ、ママってね。あれをあの女にもやってるとしたら遺伝って恐いわよね。ちなみにだけど、お母さんとヘリックはそういうことやってる? 頭なでなでしたり? ふーん、してないならいいけど、じゃあガレージでいったいなにを……え、レニーみたいなことを? キス、キスなの? オーマイ……それ誰かに言った? そう……今の話はおばあちゃんと二人だけの秘密にしましょう。うんそうね、ヘリックもお母さんも知ってるけど、それはもう仕方ないし。はあ……なんですって? ああ、キスしたくなるのは愛があるからでしょうね、好きになってしまうと、こう、相手の内側に入りたくなるの。ええ、不思議よね、まあ私からしたら人様のガレージでアバンチューーールしてる方がよっぽど不思議だけどね。サンドラもサンドラよ、オフィスワークに転職したからお母さんのお世話たくさんできますなんて、しゃあしゃあと言ってたけど、七十代でもこの通りピンピン! あんたの父親に言い寄られるわ、新しい恋人はできるわで、充実した余生を送れているんですよ、よけいなお世話はよして頂戴と言ってやりたいわ。レニーもね、お墓で口説く勇気があるくせに私が攻めに転じたら態度をコロッと変えてどうかこのことはご内密にって笑えるでしょ? 痛いからおばあちゃん、笑わないけどね。木から手を離して、最後に言ってやったわ。別に噛まれたっていいじゃないの。噛まれることでぇっ! 生まれる愛もあっっっっ!る。

結局、ただ表面に触れて、ただペロペロしてるだけじゃ子供の遊びみたいなものね。レニーも、ヘリックも、サンドラも、ジミーも、なんでジョセフみたいにガブッといけないのかしら? それが人間の限界ってこと? ううん、おばあちゃん頭痛くなってきちゃった。え、私から……血が出てるって? あら、ほんとね……うん、私の味ね。おおっと! 指ごと持ってかれるところだったわ。ステイ!

 

2020年3月7日公開

© 2020 島田梟

読み終えたらレビューしてください

リストに追加する

リスト機能とは、気になる作品をまとめておける機能です。公開と非公開が選べますので、 短編集として公開したり、お気に入りのリストとしてこっそり楽しむこともできます。


リスト機能を利用するにはログインする必要があります。

あなたの反応

ログインすると、星の数によって冷酷な評価を突きつけることができます。

作品の知性

作品の完成度

作品の構成

作品から得た感情

作品を読んで

作者の印象


この作品にはまだレビューがありません。ぜひレビューを残してください。

破滅チャートとは

この機能は廃止予定です。

タグ

この投稿にはまだ誰もタグをつけていません。ぜひ最初のタグをつけてください!

タグをつける

タグ付け機能は会員限定です。ログインまたは新規登録をしてください。

作者がつけたタグ

ユーモア 官能

"ペットのアナコンダに絞められた祖母が語る、一族の重大な秘密"へのコメント 0

コメントがありません。 寂しいので、ぜひコメントを残してください。

コメントを残してください

コメントをするにはユーザー登録をした上で ログインする必要があります。

作品に戻る