新潮文芸振興会が主催する「第37回三島由紀夫賞・山本周五郎賞」が5月16日に発表され、三島賞を大田ステファニー歓人『みどりいせき』(集英社)、山本賞を青崎有吾『地雷グリコ』(KADOKAWA)がそれぞれ受賞した。

 三島賞は、小説、評論、詩歌、戯曲を対象に新鋭の作品一篇に授賞される。昨年は朝比奈秋『植物少女』(朝日新聞出版)が受賞している。今回の候補作品は受賞作のほか、久栖博季「ウミガメを砕く」(「新潮」2023年6月号掲載)、小砂川チト『猿の戴冠式』(講談社)、鈴木涼美『YUKARI』(徳間書店)、間宮改衣『ここはすべての夜明けまえ』(早川書房)の五作が挙がっていた。三島賞の選考委員は川上未映子、高橋源一郎、多和田葉子、中村文則、松家仁之の五人で、同日選考会が行われた。

 大田は1995年、東京都生まれ。『みどりいせき』で昨年の「すばる文学賞」を受賞しデビューした。

 山本賞は、主に小説を対象とし、すぐれて物語性を有する新しい文芸作品に授賞される。昨年は永井紗耶子『木挽町のあだ討ち』(新潮社)が受賞。候補作品には受賞作のほか、小田雅久仁『禍』(新潮社)、寺地はるな『こまどりたちが歌うなら』(集英社)、葉真中顕『鼓動』(光文社)の四作が挙がっていた。山本賞の選考委員は伊坂幸太郎、江國香織、小川哲、今野敏、三浦しをん。

 青崎は91年、横浜市生まれ。2012年に「体育館の殺人」で鮎川哲也賞を受賞しデビュー。『地雷グリコ』は本格ミステリ大賞、日本推理作家協会賞を受賞しており、今回の受賞で三冠となった。

 贈呈式は6月21日に東京都内で開催予定で、受賞者にはそれぞれ記念品及び副賞として賞金100万円が贈られる。