2017年5月16日(火)、第30回三島由紀夫賞および第30回山本周五郎賞の選考会が都内で開かれた。受賞したのは、三島賞が宮内悠介『カブールの園』、山本賞が佐藤多佳子『明るい夜に出かけて』だった。授賞式は6月にホテルオークラ東京で開かれる。賞金はそれぞれ100万円。
三島賞・山本賞は、文藝春秋主催の芥川賞・直木賞に対抗して新潮社が起ち上げた文学賞だ。カテゴリとしては三島賞が芥川賞に、山本賞が直木賞に相当する。その上で芥川賞・直木賞よりも先鋭的な作品をより評価する傾向が以前はあったが、近年はさほど明確な傾向の違いは見てとれない。
今回三島賞を受賞した宮内悠介『 カブールの園』 は、今年1月の芥川賞候補にもなっていた作品だ。アメリカで暮らす日系三世の女性プログラマーが日系アメリカ人収容所を訪れる物語となっている。宮内はもともとはSF作家として評価されていた作家で、過去には直木賞と山本賞の候補にもノミネートされているが、最近は純文学畑の文芸誌にも作品を発表する機会が増えていた。
山本賞を受賞した佐藤多佳子も、やはり過去に直木賞と山本賞の候補にノミネートされている。2007年の『一瞬の風になれ』は第4回本屋大賞を受賞しベストセラーとなり、ファンを増やした。今回受賞した『明るい夜に出かけて』は、深夜ラジオのリスナーたちの関係を描いた青春小説となっている。
選考委員は、三島賞が川上弘美、高村薫、辻原登、平野啓一郎、町田康の5名、山本賞が石田衣良、角田光代、佐々木譲、荻原浩、唯川恵の5名だった。
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