作家の森内俊雄もりうちとしおが8月5日、肺炎のため死去した。86歳だった。

 大阪市出身。早稲田大学文学部露文科を卒業後、出版社で編集者として勤務。1969年に『文学界新人賞』を受賞した「幼き者は驢馬に乗って」で芥川賞候補に。その後も、70年「〈傷〉」、71年「骨川に行く」、72年「春の往復」、73年「眉山」と計五回候補となった。

 1973年に「翔ぶ影」が泉鏡花文学賞を受賞。「氷河が来るまでに」で読売文学賞、芸術選奨文部大臣賞を受賞した。ほか「空にはメトロノーム」などで知られる。

 2017年には、早稲学露文科での学生時代を振り返る自伝的連作「道の向こうの道」を発表していた。訃報を受け、徳島を舞台にした「眉山」などでも知られ、深い縁のある徳島。森内の展示コーナーがある徳島県立文学書道館3階文学常設展示室が31日までの間、無料開放されている。