僧侶で教育者の無着成恭が21日、敗血症性ショックのため死去した。96歳だった。

 生活綴方の記録『山びこ学校』の編者で、TBSラジオ「全国こども電話相談室」の回答者を長年務めたことで知られる。

 山形県生まれ。1948年に赴任した山元村(現・上山市)の中学校で、子どもたちが生活のありのままを作文に書く教育「生活綴方」を実践。生徒43人の詩や作文を収めた学級文集を編集した『山びこ学校――山形県山元村中学校生徒の生活記録』を51年に出版し、ベストセラーになった。1952年には、今井正監督によって映画化もされた。

 都内の明星学園で教諭や教頭を務め、1964年からは「全国こども電話相談室」の回答者を28年間続けた。

 大正期に児童文学者の鈴木三重吉の影響で誕生し、戦時に弾圧されたものの戦後に復活した「生活綴方」の実践者であり、「こども電話相談室」というメディアでも教育者、僧侶として長年活躍した彼に多くの人々が影響を受けたであろうことは間違いない。