大江・留・丈ニ『北朝鮮アニメ大全』がこの度パブリブより発売されることがわかった。

2019年5月に髙井ホアン著『戦前反戦発言大全』『戦前不敬発言大全』を刊行するなどしている有名出版社パブリブだが、今回、北朝鮮のアニメを扱った『北朝鮮アニメ大全』が出版される。著者は、同社より以前『韓国いんちきマンガ読本』を刊行している大江・留・丈ニである。副題は『朝鮮民主主義人民共和国漫画映画史』であり、2017年に出版された、かに三匹による『韓国アニメ大全』のシリーズ『珍アニメ完全解説』の続刊、第二弾となっている。

世界でも有数な閉鎖的国家であり、表現の自由がほとんどないと見られている北朝鮮だが、実は隠れたアニメ大国である。かわいらしい子ども向けアニメがある一方、アメリカ・西側諸国への憎悪を燃やすプロパガンダアニメも当然制作される。かと思えば高度な技術を誇り、フランスやイタリア、さらにはディズニーを含む諸外国の下儲け制作なども行っている。『北朝鮮アニメ大全』では、そんな豊かだが不思議な北朝鮮のアニメの世界を、豊富な資料と共に紹介していく。

時限爆弾 最古反米なのにYouTube視聴可能
私たちの園 ソ連押収ナチスAGFAで製作
勇敢な児童団員 日帝野郎を手榴弾で粉砕した模範児童団員
三人の友 唯一SF北朝鮮版サンダーバード幻想の中の
ガンダーラ 社会主義リアリズムと真逆シュールレアリスム
月世界の望遠鏡 金正日談話で韓国イメージ低下狙う
ポンポンポロロ 南北合作ポンキッキ放送
キャンプの一日 朝鮮画CG 無理融合不気味の谷に突入

北朝鮮アニメ54作品を、朝鮮語名、製作年、監督、脚本家、作品の背景解説、あらすじ説明、そして評論などで紹介するほか、北朝鮮三大アニメとされる『少年将軍』『かしこいタヌキ』『リスとハリネズミ』は、それぞれ章を割き詳細に解説していく。

また北朝鮮のアニソンや、声優、スマホゲーム、スタジオなどといったアニメの背景に関する豊富なコラムもあり、北朝鮮アニメの世界により詳しく迫れる構成となっている。あらゆる北朝鮮アニメ知識が詰まったこの一冊で是非知られざる近くて遠いアニメの世界に飛び込みたい。

前作の『韓国いんちきマンガ読本』や、関連作のかに三匹『韓国アニメ大全』も読むと南北合わせてより面白く読むことができるだろう。筆者は大江・留・丈ニの参加するイベントで何度か共演しているが、その知識の豊富さや切り口の面白さを毎回楽しませていただいている。

大江・留・丈ニ『北朝鮮アニメ大全』は、2023年8月より全国書店、ネット通販などで発売される。256ページで、価格は2300円。詳しい情報は下記リンクも参照のこと。