映画監督・作家として知られる森達也は1月23日、オウム事件裁判に関するノンフィクション「A3」をnoteで無料公開した。

今回無料公開されたのは、2012年に集英社文庫から出版された「A3」(上・下)である。1995年3月の有名な地下鉄サリン事件の後、森達也はオウム真理教(現・アレフ)の事件・裁判についてオウム内部の視点から取材を開始し、オウム真理教信者に対する警察の人権侵害(転び公妨など)を撮影するなど、それまでの多くの報道とは異なった視点でオウム事件を伝えてきた。1997年には取材をもとにしたドキュメンタリー映画「A」が公開され大きな話題となった。2001年には続編「A2」が公開された。そして2010年には、オウム真理教元教祖麻原彰晃(松本智津夫)の裁判、死刑を急がす様な社会の圧力について取材した続々編としてノンフィクション「A3」が集英社より発売、これにより 第33回講談社ノンフィクション賞を受賞している。

現在も版を重ねている本が無料公開となるのは前例がないとされる中で、森は無報酬について葛藤しながらも集英社の担当者や、解説を担当した斉藤美奈子、また月刊PLAYBOY連載時にイラストを描いた山本重也らに相談し、快諾を得たと言う。文庫版では山本重也のイラストは多くが割愛されたため、無料公開版でイラストの多くが復活することになる。森達也は自身のnoteで「『A3』は最も重要な作品」「一人でも多くの人に読んでほしい。もっと多くの人に知ってほしい。もっともっと気づいてほしい。」と語っており、昨年のオウム真理教事件に関する死刑囚13名への一斉執行なども契機となり、より多くの人にオウム事件と社会について関心を持ってもらうため今回の無料公開に繋がった。

森達也のnote及びA3は下記リンクを参照のこと。