日販は2017年12月31日まで、JA勝英の協賛で「なぎビーフと書店祭」と題したキャンペーンを展開している。対象書店で書籍を購入すると、1万円相当のなぎビーフロースステーキや5,000円相当のなぎビーフしゃぶしゃぶなどが抽選でプレゼントされる。岡山・鳥取エリア限定のキャンペーンながら、開始1か月ですでに3万件の応募があるという。

なぎビーフは、岡山県奈義町で飼育されているブランド牛だ。牛のオリンピックといわれる「全国和牛能力共進会」で全国2位に輝いたこともあるなど高い評価を得ているが、なかなか知名度が上がらないという悩みがあった。そこで今年5月からJAと自治体は「なぎビーフ銘柄推進協議会」を設置し、ブランドのPRに勤しんできた。

今回のキャンペーンもそんなPR活動の一環だ。協議会の活動を知った日販岡山支店から提案があったもので、本と肉というまったくの異業種間での共同キャンペーンは岡山支店にとっても初となる。出版業界も不況に喘いでいるだけに、地元銘柄の知名度アップと書籍の売り上げ向上が両立できるのであればまさしくWin-Winだという寸法だろう。協議会には、今回のキャンペーンを通じてなぎビーフを知った人からの問い合わせも多いという。

昨今は多くの書店・出版社が不況を打開すべくさまざまな試みを実施しているが、やはり人間の根源的欲求であるだけに「食」は強い。TPPの影響もあり今後ますます農業は苦境に立たされていくことが予想される。クオリティに自信のある農作物であれば、このように書店とタッグを組んでいくという方法も広まっていくのではないだろうか。