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岡本尊文とその時代(三十八)

岡本尊文とその時代(第38話)

吉田柚葉

二〇一六年は重要な年だと云う事を強く主張してはいましたね。

タグ: #ミステリー #メタフィクション #純文学

小説

1,675文字

ホール内に戻ると、八割方席が埋まっていた。開始十五分前である。

「『晴天の会』の社員らしき若い男たちがいたよ。」

「トイレにですか。」

「ウン。頑として手洗い場からどかなかった。」

そう言うと、宮崎氏は馬鹿笑いした。「態度が悪いですね。」

「まァ、本当に社員かどうか判らないからね……。」

「どうして社員だとおもわれたのですか。」

私は、男達の会話の内容を説明した。すると宮崎氏は、

「病気ですか……。」

と唸った。

「何か近年、猪原が大きい病気をしたとか、そう云う情報はあるのかな。」

「聞いた事がありませんね。」

「猪原はブログとか何かやってるのかな。」

「ブログはやってませんが、youtubeにチャンネルを持っていますね。とは言え、そのために新たに動画を撮るとか、そう云う物では無く、二〇一六年頃に行った少人数セミナーの録画した物だけが投稿されている状態です。」

「見てみた?」

© 2019 吉田柚葉 ( 2019年9月14日公開

作品集『岡本尊文とその時代』第38話 (全41話)

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