虚無の生む詩

渡海 小波津

1,218文字

私の文学は何も生まない
私の人生が空っぽだからだ
だから虚無からの詩を書いた
それだけ、それだけ

狂気

そのうち狂ってしまうのではないだろうかと常々思う

それは不労働ゆえの悩みだろう

その暇すら与えられねば 肉体は滅びる

 

しかしそうでもないのだ 家に帰り 飯を食い 出る

その繰り返しにすら 精神は蝕まれる

 

そしてそれから逃げた 逃れた それでも狂う

元来人は狂うようにできているのかもしれない

酒や愚痴や馬鹿笑いが抗生剤だ

 

私は程よく日々の疲れを感じ 安らかに床に就き

安寧のうちに書けるなら 私の文学はいらないのではないだろうか

―― 狂人の文学 文学の大安売り

2013年5月31日公開

© 2013 渡海 小波津

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