毎日毎日寂しくってしょうがなかった
俺ってつくづく独りなんだなぁって感じることが多くて、毎日毎晩いろんな風俗店に仕事が終わった後、遊びに行っていた
その中でもお気に入りなのがココ
「今日も来たよ」
「あっ、おかえりぃ♪」
「何々、おかえりって?」
「和樹くん私のところが家みたいなもんじゃない?」
「 … 」
何か嬉しかった
この嬢は他にも俺の年齢を知っているにも拘わらず、下の名前で「君」付けで呼んでくれたりするから、そんなところも俺は気に入っていた
周りが俺をおじさん扱いする中で、ココに来ると…何だか…
ココが自分の居場所のような気がして…
・
最近解ってきたことがある
私を何回も指名してくれる人って必ずストーカーになるなぁって
これはモテてるとか、そんな単純な自慢話とかじゃなくって…風俗の仕事、そろそろ疲れたなぁって…毎日毎晩思うから…
自分の過去を見つめ直してみたんだ
「そうですね…やっと気付きましたか?その事に」
「え!店長解ってたんですか?」
「解ってましたよ」
「何だぁ…じゃぁ早く教えてくれれば良かったのに」
「僕は気付いてるし、解ってると思ってましたよ」
「何で!解ってませんよぉ…」
「それもあなたの魅力の1つだと僕は思っていますし、それをうまく利用して仕事する子だなぁって」
「うまく利用なんてしてませんよ!」
「そうなんですか?」
それが私の魅力だなんて…
「まぁまぁいいじゃないですか、そんなに深く考えなくても」
「…もう疲れたなぁって思うんです」
「うーん困りましたねぇ」
私、もう疲れちゃったんですよ、店長
・
周りがみんな結婚していって、遊び相手がどんどんいなくなっていった
俺は結婚なんて考えもしなかったから、決まった相手を作ろうと思わなかったし、見つけようともしなかった
でもこの年齢になって独りは妙に寂しい
だからいつもお金を使って誰かと過していた
その結果、寂しさや孤独はどんどん増していき…更に俺を苦しめた
「 … 」
俺は寂しい
・
「お仕事嫌になってしまいましたか?」
「…はい」
「本当に困りましたねぇ」
「 … 」
「でも僕は思うんです」
「 ? 」
「嫌と言いながらも、あなたは出勤してる」
「だって、それは…仕事だし」
「さぁ今日も澤田さんからご予約頂いてますよ」
「あぁ…澤田さんもストーカーになったら嫌だな」
「大丈夫ですよ」
「また無責任に!」
「だってあなたのお客様たちは…」
「お客様たちは?」
「あなたを大好きなお客様たちばかりですから」
「 … 」
そうよね、私矛盾してる
嫌ならもうココに来なければいいんだもの
・
「和樹くんおかえりっ♪」
「また来ちゃったよ」
「うん」
私はいつもお客様たちと肌を重ねる度に安心する
求められてる気がして、すごくカンジてしまう
「あっ…」
ほら今日も…キツく抱きしめられただけで…
イッちゃった
end
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