いつもは私があなたを待っているはずなのに
今度はあなたが私を待ってくれているみたい
ドアをノックして部屋に入るとそこには‥
「こんにちは」
「あ、初めまして」
ガウンを着て、すっかりくつろいでいる男の人がいた
「今日僕、このホテルに泊まるからさ‥あなたが来るまですっかりくつろいじゃったよ
ごめんね、こんな格好で」
そう言って笑ったその人は髪の毛がもうだい
ぶ無く、ほとんどハゲに近い状態で、歯並び
は悪く前歯が2本程抜けていて‥
‥見るからに“おじさん”だった
「 ‥ 」
私がお店のお部屋でお客さんを待っている状
態の時は‥お店の中だったから、安心感もあ
ったし、“おじさん”のことも相手に出来た
何となくお店全体が、お部屋の中が“秘密の
空間”みたいなカンジがしたし、その中でエ
ッチなことを‥フェラチオをしたりキスした
り‥するということが“特別”な気がしたか
ら‥
‥こういう“おじさん”とも出来たのかも知
れない‥
でも今はお客さんが待っている場所、ホテル
に私がエッチなことをしに行くのだ
そしてまた違う空間、リアルな所で、“接客”をしなければならないのだ
‥閉鎖的なリアルな空間は私に嫌悪感を与え
てくるし、そこで待っている人がこんな“お
じさん”だとかなりへこんでしまう
「もう1回、2人でお風呂に入ろうか?」
「そうですね、入りましょうか」
イソジンとかタイマーとかローションとかグ
リンスとかがあったって、そこは‥
“ラブホテル”に違いないのだ
お風呂がジェットバスで、照明が赤や緑に変
わっても、
‥ちっとも楽しくない‥
「 ‥ 」
“おじさん”と向かい合わせになって浴槽に
入る
‥おじさんの目は優しそうかも知れない‥
「僕いくつに見える?」
「‥素直に?見たままで?」
「うん」
「54歳ぐらい?」
「‥ショックだなぁ」
「あ、ごめんなさい」
「いや、いいんだよ‥実はね今日は僕の50歳の誕生日なんだ」
“おじさん”はずっと1人身で“自由”に暮
らしているのだそうだ
「じゃぁ今日はお祝いですか?」
「あぁ寿司食って来たよ」
私は“おじさん”に少し同情してしまった
「今、かわいそうって思ったでしょう?僕のこと」
「えっ‥」
「‥君みたいな子を指名して良かったよ」
そう言った後“おじさん”は私を後ろ向きに
立たせて‥
いろんなところを触ってきた
その指の感触は“痛く”感じた
「やっ‥」
「この“おじさん”誕生日に“独り”でかわいそうって思ったろ?」
「 ‥ 」
「いいねぇその“同情”がたまらなくカンジるよ」
「 ‥あっ 」
おしっこを我慢してた私は、そんな“おじさ
ん”のクリトリスの触り方に過敏に反応して
しまって‥
「嫌っ!」
「 ‥ 」
とてつもない快感の後、お漏らししてしまったのだ
あまりの恥ずかしさに泣いてしまった私を見
た“おじさん”が‥
「綺麗に舐めてやろう」
「 ‥ 」
お漏らしの後を優しく舐めてくれた
そしてまた私はカンジてしまうのだ
「んっ‥」
「じゃぁ私、お店に戻ります」
“おじさん”の部屋に置いてきた名刺の裏に
私は‥
《お誕生日おめでとうございます 私があなたの誕生日を誰よりも祝福します》
って書いた
end
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