綾瀬幻想

歴史奇譚(第2話)

消雲堂

小説

1,168文字

小菅とか綾瀬ってさ、面白い街なんだよ。まず東京拘置所があるよね。有名な犯罪者さんたちが、この拘置所に入ったから話は尽きないけど、それはまたにしようね。

 

ここは江戸時代に治水工事の専門家である伊奈さんの屋敷が建っていてさ、それを徳川将軍が松戸の小金牧に狩りに行く際の休憩所にしたのさ。江戸時代にはこの付近に硬貨を鋳造する銭座もあったんだよ。

 

この小菅ってとこには、実は水戸街道が通ってるんだよ。今じゃ街道の名残がないほどに寂れちゃってる。誰も気がつかないほど。もっとも江戸時代のことに興味がある人間なんてあまりいないけどね。

 

水戸街道といえば水戸藩。水戸藩士たちは千住から水戸街道を通って水戸に向かうんだけど、荒川を渡って水戸街道を通るのさ。光圀も斉昭も慶喜も通ったんだよ。高杉晋作の「試撃行日譜」って日記を読んだことがあるけど、あいつも北関東から遠回りして長州に帰った際にまずはここを通ったんだよ。

 

千住大橋あたりまで長州者が見送りに来たって書いてある。禁門の変で自刃する久坂玄瑞も来たんだよ。それにあの桂小五郎も遅れたから馬で送りに来たって日記に書いてある。あ、千住までだけどね。

 

その水戸街道(旧街道)ってのが、拘置所の傍に佇むM安全さんの建物の裏にある細い道の事なんだよ。その旧街道をちょっと歩くと橋がある。これが水戸橋。綾瀬川にかかるこの水戸橋ってのは、水戸街道の名残なんだよ。

 

この水戸橋から常磐線の線路方向を見ると、常磐線ガードの下辺りにもうひとつ橋があるんだけど、これが伊藤谷橋。

 

勝海舟に騙されて甲府鎮撫に赴き、馬鹿だから故郷の多摩で馬鹿騒ぎしてるうちに新政府軍に甲府を抑えられて鎮撫に失敗してさ、近藤は秋葉原駅の裏にある、今で言う昭和通りに面した場所にあった医学館で傷を癒してから、またまた勝海舟たちに体よく江戸を追い払われて、まずはこの綾瀬の五兵衛新田にやって来たのさ。

 

五兵衛新田の金子さんという人の屋敷を本陣にしてさ、この伊藤谷橋とさっきの旧水戸街道にある水戸橋に新政府軍を見張る歩哨を置いたんだってさ。京都時代ほどじゃないけど新選組の人数が多いので金子家だけでは入りきらないので近くの観音寺にも分散させたのさ。

 

ここから流山に向かって、そこで近藤は捉えられて、春日部経由で板橋に送られて斬首されるのは知ってるよね?

 

小菅・綾瀬・・・ここに由のある出来事を挙げると、まずは水戸街道に綾瀬五兵衛新田の金子家に新選組以外に何があるかな?

 

うーん・・・時代が全然違うけど、「下山事件の下山総裁轢断死体発見現場」に「綾瀬女子高校生コンクリート詰め殺人事件」かなぁ。

2013年1月24日公開

作品集『歴史奇譚』第2話 (全14話)

© 2013 消雲堂

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