ともだちみたいな親子

かきすて（第10話）

目がさえて眠れないので書きました。ぼちぼち寝ます。

タグ: #ミステリー #リアリズム文学 #純文学

2,145文字

土曜出勤を終えて帰宅すると、家はもぬけのからだった。私は缶ビールをあけた。つまみがなかったので茶づけをつくった。

スマートフォンにおくられて来た妻からのショートメールによればふたりはディナーに行ったらしい。私はつい先日ガラパゴス携帯からスマートフォンに機種変更したばかりで、コミュニケーションアプリのたぐいはまだひとつもインストールしていない。なにを食べるとも書かれてない。いまごろ娘のインスタグラムには料理をかこむふたりの写真がいくつもアップロードされているはずだ。

「ともだちみたいな親子ですね」

というのは、どこのだれとも知らないが、どの写真にもつけられるコメントだ。人気インスタグラマーには、血のかよっていないうすい賛辞があつまる。

テレビをつけた。野球がやっていた。興味がなかった。ただぼんやりとそれをながめた。

――理解がないのよ。うちのは理解がない。

と妻は言う。

――うちもよ。

右隣に坐っている女が共感した。うちもうちもと波が立つ。

© 2020 吉田柚葉（ 2020年11月8日公開）

『かきすて』は2話、14話、24話を無料で読むことができます。
続きはAmazonでご利用ください。

Amazonへ行く

目次

良い子にむけて 2020 年 12 月 26 日（5年前）
燃える自画像 2020 年 12 月 18 日（5年前）
おもいつき 2020 年 12 月 12 日（5年前）
ともだちみたいな親子 2020 年 11 月 8 日（5年前）
花火 2020 年 10 月 26 日（5年前）
禍中 2020 年 9 月 19 日（5年前）
ここ十年 2020 年 3 月 7 日（5年前）

全40話を見る

読み終えたらレビューしてください

みんなの評価

5.0点（1件の評価）

ログインすると、星の数によって冷酷な評価を突きつけることができます。

		1
		0
		0
		0
		0

ログインするとレビュー感想をつけられるようになります。ログインする

著者

吉田柚葉破滅派投稿者

暮らしてます。

7年前登録
157作品

詳しく見るフォローする問い合わせ

この作者の他の作品

この作者の人気作

著者詳細プロフィール

Books
破滅派の書籍

破滅派23号「AIをリライトする」

破滅派22号「メイク・アゲイン」

東京都九尾島全記録

破滅派21号「ノワール」

ぼくは君がなつかしい

破滅派20号「ロスジェネの答え合わせ」

破滅派19号「サミット」

破滅派18号「検閲」

破滅派17号「小説の速度」

ギークに銃はいらない

破滅派の通販サイトを見る

「ともだちみたいな親子」をリストに追加

リスト機能とは、気になる作品をまとめておける機能です。公開と非公開が選べますので、あなたのアンソロジーとして共有したり、お気に入りのリストとしてこっそり楽しむこともできます。

リスト機能を利用するにはログインする必要があります。

"ともだちみたいな親子"へのコメント 0件

コメントがありません。寂しいので、ぜひコメントを残してください。

コメントを残してください

コメントをするにはユーザー登録をした上でログインする必要があります。

ご注意: 破滅派での投稿機能（作品・コメント・アイデアなど）にはJavaScriptが必要です。閲覧は問題なく行えますが、投稿される場合はJavaScriptを有効にしてご利用ください。