入歯タリアン

島田梟

小説

22,444文字

歯科医の主人公がゾンビになってしまった妻を総入れ歯にして一緒に同居する話。

 

あとがき

 

『眼光紙背に徹す』を実践する読者にとって、ここからの話はいささか蛇足めくだろう。しかしこの世には順序もわきまえずにあとがきを読むせっかちな輩がいるのである。

さて、賢明な読者諸君はお気づきのことだろう。〈変異者〉がいかに異形となっても、我々と同じ人であり続けていることを。良き隣人として、良き家族として、共生していくにはほんのひと手間で済む。

現在の法律は整備が追いついておらず、早急な対策が求められる。これは本文でもページを割いたのでぜひ未読していただきたい。

プライヴェートな部分は、正直書くのが辛かった。
〈根絶派〉の悪口をふんだんに盛りこんでしまい、反省はしている。ただ真の意味でわかりあうためには荒療治も必要だとわたしは考えている。波風のたたぬ論争など存在しない。

最後に。この本をまとめるにあたり、糧となってくれた方々、歯科医師清水文博氏とそのご一家、論敵、識者、娘の瑠美、そして妻の久美子に、心からのお礼を述べたい。

 

二〇三〇年 月 日

2020年1月4日公開

© 2020 島田梟

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