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学級写真の空白

落丁(第6話)

ゐで保名

今、その影は、誰に一番近づいているのだろう。

タグ: #AI #幻想文学

小説

1,986文字

小学校の卒業アルバムには、一年ごとの学級写真が並んでいる。

 

入学した年の写真から、卒業する年の写真まで。同じ校庭、同じ桜の木の下で、毎年、同じように撮られてきた写真だ。

 

わたしの通っていた学校は、町はずれの、古い木造校舎だった。校庭の隅には大きな桜の木があって、毎年、学級写真は、必ずその木の下で撮られることになっていた。桜が咲く季節ではなく、二学期の初め、木がただの緑色をしている頃に撮るのが、なぜか昔からの決まりだった。

 

わたしがそれに気づいたのは、六年生になった春だった。

 

三年生の写真を見ていて、隅の方に、うっすらとした影があることに気づいた。人の形をしているようで、していないような、ぼんやりとした影だった。誰かが動いてしまって、写真がぶれたのかとも思った。でも、四年生の写真にも、同じような影があった。五年生の写真にも。

 

影の位置は、毎年、少しずつ違っていた。三年生の時は右端、四年生の時は真ん中の少し後ろ、五年生の時は前列の隅。まるで、その影が、毎年、少しずつ場所を移動しているようだった。

 

わたしは、担任の先生に聞いてみた。

 

「この写真の、この影は、なんですか」

 

© 2026 ゐで保名 ( 2026年7月19日公開

作品集『落丁』第6話 (全10話)

落丁

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