いつもいつも毎回毎回、お客様から奥さんの悪口を聞くのが最近辛くなってきた
「うちのなんかもうデブを通り越してマルだよ、マルッ!」
「マルって…?」
「丸いただの物体ってこと、ただの肉の塊だね、ありゃ」
「 … 」
奥さんの悪口ランキング第1位はデブだ
私はデブという言葉を聞くたびに自分は太らないように、デブって言われないようにしようって努力してる
その成果もあってか、お客様たちにはスタイルがイイと喜ばれる
「う~んこのお尻がたまらないねぇ」
「このお尻好き?」
「あぁ大好きだよ」
自分のカラダを褒められるのって心地いい
奥さんたちも努力して、デブって言われないようにすればいいのに…
「キミのカラダは僕の理想だよ」
肉の塊よりも理想のカラダって言われた方が嬉しいと思うのに…
・
『今日は結婚記念日だから早く帰って来てねっ』て、結婚した当初から10キログラム増量した妻に言われた
「 … 」
そのときのはにかんでるんだか何なんだかよくわからないブサイクな顔が僕の脳裏に焼きついている
出逢った頃は凄くキレイで可愛かったのに、何故こんなにも変わり果てた姿になってしまったのか、理解不能だ
「絶対早い時間になんて帰らねぇぞ…」
「え、何か言いましたか?」
「いいや、何にも言ってない」
「後1件回ったら今日は終わりですね」
「終わらねぇぞ」
「えっ?」
「あっそうか、お前ん家新婚だったなぁ」
「あ…はい」
「今のうちだけだぞ、結婚生活が楽しいのは」
「どうしたんですか?何かあったんですか?」
「何にもねぇよ」
後輩もその内、自分みたいになるんだろうなと思うと今から切なくなってくる
「よし!後1件回ったら帰ろうな」
「あ、はい!」
もう決めた、アイツのブサイクな顔を見る前にお店に遊びに行こう
僕の理想のカラダを抱きに行こう
・
「今日もキレイだね」
「えっ?」
「キミはいつもキレイだ」
「そんなこと…」
「…キレイだよ」
後藤さんは私のカラダをベタ褒めしてから、ゆっくりと丁寧に優しく舐めていく
「あっ…」
私はその舌づかいが大好きで、いつもトロ~ンとしてしまう
「んっ…ソコ、気持ちいい…」
「ココ?」
「うん、あっ、ソコ…」
私が絶頂を迎えそうになった、そのとき…携帯の着信音が鳴った
「ゴメン、ちょっと音消してくるね」
「 … 」
タイミングの悪いその着信音を鳴らしたのは後藤さんの奥さんだった
「…今日実は、結婚記念日なんだ」
「えっ、そうなの?」
「あぁ、でも早く帰りたくなくてさ…」
「…そんな大事な日に逢いにきてくれたなんて、何か嬉しい」
「本当?」
「本当よ、だからまた最初から舐めて…」
「うんっ!」
私の中の何かが私のカラダを支配した
それは、自分が他の女よりも勝っているという優越感
それはとても刺激的で…後藤さんのことをとても愛おしく思ってしまった
普段は舐められてもカンジなかった手の指やお腹、太ももまで…カンジてしまった
「気持ちイイ?」
「うん、すごくイイ…もっとたくさん舐めて…」
「キミがこんなにカンジてくれるなんて嬉しいな」
「あっ…!」
「ココ?ココがイイの?」
「うん…ソコ、もっと舐めて…」
そのときまた携帯の着信音が鳴った
「あっ、ごめん!また鳴っちゃった!今度こそ音、消してくるね」
「ダメ…」
「え?」
「このままココを舐めて…」
「 … 」
私は後藤さんの顔を自分の股間に押しつけ、携帯の着信音を聞きながら、果てた
end
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