安齋篤人『ガリツィア全史』が、パブリブより12月に発売されることがわかった。

2024年2月に髙井ホアン著『鬼畜米英漫画全集』を刊行するなどしている有名出版社パブリブだが、この度、新しく『境界地域研究』シリーズが始動した。その第一巻として『ガリツィア全史』が出版される。副題は「ウクライナとポーランドをめぐる歴史地政学」。著者は、ガリツィア史の専門家、安齋篤人である。

ウクライナ南西部からポーランド南部にかけての「ガリツィア」地域は、2022年のロシアによるウクライナ侵攻以降、大きな注目を集めるようになった。ロシア侵攻に至るまでの、マイダン革命やあるいは中欧・東欧史においても、この地域は大きな役割を果たしており、中東欧政治を理解する上で極めて重要なエリアともいえる。しかし現代においては独立した行政区などもなく、日本においてこの地域は広く知られているとは言い難い。『ガリツィア全史』は、歴史的にも、今のウクライナにおける情勢を知る上でも知っておきたい、ガリツィア地域のすべてを網羅した一冊となる。

ウクライナ・ナショナリズム 涵養の地なのか?

ロシアに支配されたことがなく

ウクライナ人の国が存在した歴史上重要な地

ハーリチ・ヴォリーニ公国、西ウクライナ国民共和国…

「ガリツィアの都市」
「ガリツィアの「ロビン・フッド」ドウブシュとフツル人」
「ウクライナ語の起源 —ガリツィア・ポジッリャ方言、ルテニア語」
「マゾッホとガリツィア」
「社会主義期のポーランドと西ウクライナの新都市・団地」

ガリツィアの歴史、文化、宗教、言語、周辺地域との関りなど、単なるガイドや概史に留まらない豊富な内容が並んでおり、また充実したコラムも用意されている。そして「境界地域」という観点からもその地域の特異性や意義を知ることができる内容ともなっている。現代のウクライナ、ポーランドそして中東欧情勢を語る上でも欠かせないガリツィア地域を深く知るために重要な一冊となりそうだ。

パブリブでは他にも、平野高志『ウクライナ・ファンブック』、今年2024年の8月に発売された梶山祐治『ウクライナ映画完全ガイド』など、ウクライナ関連の書籍が出版されている。この機会に是非合わせて読みたい。

安齋篤人『ガリツィア全史』は、2024年12月上旬より全国書店、Amazonなどで発売されるとみられる。408ページで、価格は2800円+税。詳しい情報は下記リンクも参照のこと。