中原中也の新発見資料2点が出身地である山口市にある中原中也記念館で、2月18日の開館記念日にあわせて19日までの期間限定で初公開されている。

詩「朝の歌」原稿について、署名はないものの、筆跡から中也の自筆原稿と見られ、これまで存在を知られていなかった新発見資料になる。先に収蔵されていた原稿は第三次形態で、第三連一行目までしか書かれていなかった。中也の自筆で「朝の歌」全篇を読むことができたのは初めて。

「朝の歌」原稿と同じく、新発見資料として新たに収蔵されたのが瀧口武士宛書簡(はがき一枚)。中也の日記には〈「鵲」第十輯に詩稿発送〉(昭和11年6月23日)の記述があり、同年7月15日発行の同誌第10号に中也の詩「夢」が掲載された。こうした瀧口との交流の一端を示す資料として注目される。瀧口は、短詩運動や新散文詩運動の旗手として知られる。

昨年7月に東京都内であったオークション、七夕古書大入札会で同館の学芸員が発見したという。