田辺寛『デスメタルチャイナ』が7月上旬にパブリブより出版されることが分かった。

昨年5月に髙井ホアン著『戦前反戦発言大全』『戦前不敬発言大全』を刊行するなどしているパブリブから、今度は普段うかがい知れない中国のデスメタル事情を網羅するガイドブック、田辺寛『デスメタルチャイナ』が出版される。

インターネットの規制により国外との通信が制限されている中国ではあるが、世界から知られないままその規制の内側で様々なメタルバンドが誕生していた。

Ego Fall グランジから馬頭琴取り入れモンゴリアン・メタルコアの先鋒に
Zuriaake 水墨画のようにダーク・アンビエントとブラックメタルを融合
Black Kirin 京劇も取り入れた南京事件テーマのアルバム出した長春メタル
Hellfire 日本のSabbatを崇拝する武漢メタルシーンの中心人物が吼える
Nine Treasures 馬のリズムが基本にあるモンゴリアン・フォークメタル
Voodoo Kungfu 宗教風のステージングのエクストリーム・フォークメタル
Scarlet Horizon ビリビリ動画で注目を浴びた新世代ヴィジュアル系バンド
Explosicum 南昌メタルを活気付けるザクザク・ファスト・スラッシャー
Barque of Dante 重慶拠点に名だたる外国人招聘した本格パワー・メタル

西欧と異なる弦楽器の伝統を持ち、また広大な国土と様々な文化が入り混じる中国で独自発展した中国デスメタルの世界を、中華圏のメタル専門家田辺寛が詳細に解説する。また、日本よりもはるかに進んでいるストリーミング化に対応した中国音楽サイトの使い方や、「唐朝」などの中国古典ロックの解説、『中国抗日ドラマ読本』 の岩田宇伯による特別寄稿コラム「コロナ応援ソング特集」も設けられており、中国の現代音楽シーンについてより深く知ることができる本にもなっている。掲載アーティスト496組、紹介音源914枚、408ページ、52万字の超大著ながら2500円という安価に抑えられている。メタルのみならず中国・アジア音楽に興味があるならぜひ手に入れておきたい一冊と言えるだろう。

パブリブは、以前より「世界過激音楽シリーズ」を刊行し、『デスメタルアフリカ』『ヒップホップ東欧』の様にこれまで日本であまり紹介されてこなかった世界各国の音楽事情や、『デスコア・ガイドブック』『オールドスクール・デスメタル・ガイドブック』シリーズなど体系的なガイド書籍を編集・出版してきた歴史があり、各種ファンやマニアより高い評価を得てきた。4月にはDaniel Ekerothにより2008年に著された名著『スウェディッシュ・デスメタル』の日本語訳も出版しており、その紹介の幅はますます広がっている。

田辺寛『デスメタルチャイナ』は、7月6日頃より出荷予定であり、7月中旬までに全国書店、Amazon、CD・レコードショップなどに並ぶと思われる。詳しい情報は下記リンクを参照のこと。