2015年末に公開されスイス国内で大ヒットを記録していた映画『ハイジ アルプスの物語』(原題: Heidi)が、2017年8月下旬より日本にも上陸する。これは児童文学の金字塔『アルプスの少女ハイジ』を実写化した作品で、監督はアラン・グスポーナーが務めている。

スイス人作家ヨハンナ・シュピリによって1880年に書かれた『アルプスの少女ハイジ』は、全世界で60もの言語に翻訳された不朽の名作だ。アルプスで祖父とともに暮らしていた少女ハイジと都会で暮らす大富豪の令嬢クララとの交流・友情を描いた物語は、しばしばパロディのネタにさえされるほど広い世代に浸透している。

過去の映像化作品としては、1974年に日本で制作されたテレビアニメ版が特に有名だろう。ヨーロッパ、アフリカ、アラブ諸国など世界中で放送されており、海外でもハイジといえば日本のアニメのあの絵を思い浮かべる人が多いほどだ。

一方、実写作品はこれまでにもたびたび試みられているが、ヒットしたといえるのは1937年のアメリカ映画版と1952年のスイス映画版(とその続編)ぐらいしかなかった。あれだけの有名作品でありながら、半世紀以上ハイジの実写作品は商業的成功から遠ざかっていたのだ。

そんななか登場したのが、本国スイスとドイツの合同制作である本作だった。主要キャストのほとんどをスイス人が演じ、アルプスのシーンもスイスのグラウビュンデン州で撮影されたこの映画は、ハイジの世界観を存分に再現した決定版というべき作品になっている。ハイジを読んだり見たりしたことのある人であれば、思わずにやけてしまうシーンが目白押しだろう。

そうした再現度の高さもあってか、本作はスイスだけで100万人もの動員を記録した。スイスの人口は約800万人なので、日本でいえば1500万人が劇場へ行った計算になる。過去に日本で1500万人以上を動員した映画は6作品だけしかなく、いかに爆発的なヒットであったかが理解できるはずだ。

アニメ版を世界中に輸出した日本は、いわばハイジにとって第2の本国といえる。スイスで大ヒットしたからには完成度に間違いはないはずなので、ハイジファンであればぜひとも劇場に足を運びたい。