姉妹の愛。

応募作品

曾根崎十三

エセー

1,637文字

名探偵破滅派「天使の傷跡」応募作品。だんだん推理を放棄して空想の「ぼくのかんがえたさいきょうのてんしのしょうこん」みたいな感じになってしまった。

歴史小説と違ってなまじ今と似た風景なこともあり、時代の差をありありと感じた。現代で発表されていたら炎上待ったなしである。それにしても、個人情報保護法がなかった時代ってこんなにフリーダムだったのか……。やりたい放題やん。ストーカーしやすい環境過ぎる。ストーカー天国なのでは。

療育園のチカラちゃんは昌子の姉、時枝の第一子である。写真の女性は間違いなく昌子ではないということ、結婚一年で子供を授かったが流産した、というあることから推測できる。結婚でかなり揉めたせいで時江はストレスから不眠になっており、アルドリンを常用しており、ODや自殺未遂もしていた。

地主が貧乏の娘と結婚することに揉める風土のK村なら、地主の家の長男が、母の薬害による障害児であることは公にできない。村八分にされ、母子もろとも、いや、一族もろとも追い出される可能性もある。そのため、死んだことにして、昌子が東京まで連れて行って施設に預けた。また、その際に姉がアルドリンを服用していた、という証拠隠滅のため、残りのアルドリンを持って行った。一年間は家で手伝いをしていた昌子が東京に出てきたのはこれが理由である。

昌子は「姉には命を救われた」と言っている。2人の両親はいない。2人の若さからして2人とも死んでいるのには何か事情があるように思う。実は彼女の両親は無理心中をしようとし、父または母がもう片方を殺した。姉妹も殺そうとしたが、時枝はまだ幼かった昌子を連れて逃げた。その際に、時江は昌子を助けるために伸ばした手を親に斧で切りつけられ、薬指と小指を切断せざるを得なくなるほどの大怪我を負った。しかし、それでもひるむことなく、昌子の手を引いて逃げ出すことに成功した。

女性が目に見える障害を負ったとなると、K村では激しく差別を受け、虐げられただろう。そんな時江の姿を見て育った昌子は、自分のせいだと負い目を感じており、何としても恩義に報いたいと考えたのではないか。

時枝の結婚相手は資産家ということもあり、東京でも有名な企業との繋がりもあったのだろう。アルドリンの開発企業とも関係があるかもしれない。そういったことを久松はかぎつけ、時枝が療育園から出てきた写真を昌子に見せ、姉の家をスキャンダルの餌食にするぞと脅した。姉に深い恩義のある昌子は姉を守るためになけなしの10万円を出したが、それでも足りないため、姉には生活に困ったなど嘘をついて金を工面してもらい、姉の知らない所で姉の身を守ろうとした。

しかし、金を払ってもスキャンダルの証拠写真を久松は昌子に渡さなかった。必死に姉を守ろうとする昌子の態度に味を占めた久松はまだ何度か強請れそうだと考えたたのだ。しかし、昌子はこのままでは、姉夫婦の家に久松が直接強請りをかけ、せっかく幸せに暮らし始めた姉の家庭が破壊されると考え、久松を殺した。

大家を殺したのは、昌子の目撃情報から強請りの内容が漏れて、姉の生活が脅かされる可能性を恐れたためである。

そして、逮捕された後はそういった内容が明らかにされないよう、すぐに嘘の供述をし、これ以上の捜査が入らないようにした。

ちなみに、田島と昌子のセックス後の描写でなぜか昌子が泣いていることについては「痛かっただけちゃう?」としか思わなかったが、まさかそんな意味合いでその描写はしないだろう。「結婚しよう」と言われても昌子は「結婚?」と微妙な反応をしている。昌子は愛する姉の子であるチカラちゃんを引き取るつもりだったので、果たしてそのことを受け入れてもらえるか、という思いと、もう人を殺してしまっている引け目からの反応だったと推測する。

それにしてもプロローグの男は一体だれなのか。今の所拳銃も出てこない。警察なら持ってるかもしれないが、警察サイドでそこまで恨みを持っている人間も見当たらない。無罪のエンゼル片岡を追い込んで死なせてしまったことに引っ掛かりはあるようだが、プロローグの規模の大きさと噛みあわない。

 

 

2022年6月20日公開

© 2022 曾根崎十三

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