『ココにキミはいるのに』
最近、私が働いているお店のホームページ内のbbs、掲示板がかなり荒れ始めている
「…」
私はお客さんが「楽しかった」とか「また逢いたい」とか書き込んでくれる、その気持ちが嬉しくて、こまめに返事を返していた
『今日はとても楽しい時間が過ごせて、癒されました。写真でしかあなたを見た事がなかったから、最初妙に緊張してしまったけど、気さくな女性で話しやすく…また絶対逢いに行きますね』
そう、こういうメッセージが素直に嬉しかったから
でも最近…
『超きもいんだけど!こんなところに書き込んできてバカじゃないの?』
とかいう返事を私が、せっかく書き込んでくれたお客さんに対して書いたみたいに書き込む人が出てきた
「…」
とてもイヤな気分だったから
『あなたは誰ですか?こういうコトをするヒトって切ないです』
私は素直にそのニセモノの私に問いかけた
『だって、普通キモクない?』
今度はその人が知らない誰かに成りすまして、私に問いかけてきた
それから私は沈黙した
「店長!何かうちの掲示板、最近ひどくない?」
「あー、ニセモノ?」
「うん!マジでムカつくんだけど」
「あんまりひどくなるようだったら対策を考えようか?」
「っていうか、今すぐ削除しよーよお!」
「まぁ、このテのヒト達っていうのは…難しいからね、削除したらしたで逆上して、もっとひどい状況になるかも知れないし」
「そうかも知れないけどさー…」
お店に出勤して、店長にどうにかしてもらいたかった
…でもどうにもならなかった
「気にしない事が1番だよ、今日も予約のお客様入ってるし、お仕事頑張って!」
「はーい…」
その予約してきたお客さんの中に私に成りすました人がいるかも知れない
「…」
そんな事、ふいに思ったらお客さんに逢うのが嫌になってきてしまった
「14時からタケダ様で御予約入ってますよ」
「はい」
タケダさんは週に1回、日曜日の14時に来てくれるお客さんで、年齢は43歳、会社では課長クラス…独身、1人暮らし
趣味は最近覚え始めたパソコンでインターネットを楽しむ事
「…」
嫌なカンジは、どんどん増殖していった
『最近ね、パソコンをいじるのが楽しくて』
『見たよ、グラビア』
『お店の掲示板でキミが僕ではなく、他の男の書き込みに答えているのを見てしまうと嫉妬してしまうんだ』
『ネット上でもキミに逢えるのが、僕としては嬉しい限りだね』
『他のお客さんにもこんなイヤラシイ顔を…』
『キミは見せているのか?』
今までのタケダさんの言った言葉が私の頭の中でくり返される
「あ!また書き込み増えた!」
タケダさんに逢う前にみてしまった、お店の掲示板
『キミを愛してる』
投稿者名は“タケダ”だった
「…」
店長と私は絶句した
「タケダさん…なのかな、全部」
「考えすぎだよ、もうすぐタケダさん来るよ」
「…何か怖いかも」
「大丈夫、何かあったらお店にすぐ電話ちょうだい」
何かあってからじゃ遅いんだけど…
「今日も逢いにきてしまったよ」
私の不安な気持ちをよそにいつも通りのタケダさんがソコにいた
「…」
長く甘いkissをされて、強く抱き締められた時に私はタケダさんからの強い愛をカンジて…
泣きながら、イッてしまったんだ
end
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