ミルコアと浦和駅地下道

小林TKG

小説

2,469文字

BFC4もダメでしたが、なんか今年もBFC4予選優秀作品に残りましたので、もう十分にうれしい。あと今年も#BFC4落選展っていうのをやってますのでそれに話書いた放流しますけども、今年はnoteに上げますので、この話はその代わりに今思いついて、今書いてたやつです。

今更で恐縮なんですけども、こないだの破滅派の合評会のテーマが異世界転生だったじゃないですか。

で、私はいつ頃でしたっけ。えーっと、まあとにかく8月には話を出した、提出したので、うん。異世界転生テーマの話。利他のやつ。出したんで、だからそれ以降は安心しちゃって、

「もう異世界転生について考えなくていいんだ」

ってなって、ええ。後はもう合評会当日まで、期限日当日まで、それを見なおして、いらない部分消して、欲しい箇所追加して、直していけばいいなあ。なんて。そんな風に思ってたんです。

だからなんだと思うんですけども、だからっていうのはつまり、あれですよ。異世界転生に関してのフィルターっていうのかな。私の中でこう、利他の話を考えている時はあったんですよね。

「何か、何か無いだろうか。異世界転生に関係ある事」

っていう感じで。日常生活。異世界転生。異世界転生について考えながらの日常生活。そういうのが。利他の話を思いつくまではあったんです。異世界転生に関してのフィルター。異世界転生についての事を考えながら、並行して日常生活の事も考えながら、例えるなら脳内に二つのラインを引いた状態での、そんな状態での日常生活。

で、あーでもない、こーでもないっていう事を脳内でこう、取捨選択っていうのかな。をしながら生きてた時期があって。勿論顔には出てないと思う。思います。顔にあーでもないこーでもないって出てたら怖いし。日常生活の運用は大事だし。円滑な日常生活、平和な日常生活の円滑な継続が大事だし。それがあってこそだし。

で、でよ、んで、ある日浦和駅に貼ってあった『利他と流動性』のポスターをね。かっこいいなあって写真に撮ってね。で、おそらくあれが私にとってとても重要だったというか。多分、多分ね。勿論その時は重要なんて思わなかったし、わからなかったと思うんですけども。ぶっちゃけ利他の意味も知らなかったし。流動性っていう言葉も知らなかったし。

でも、異世界転生のフィルター継続していたある日それまで考えていた異世界転生の話はどうも先が無いぞと。ダメだぞ。と。じゃあ、どうしよう。ってなった時に、こう、なんか自然発生的な感じで私の中に浦和駅で撮った『利他と流動性』の写真が浮かんできて、ふわっと、私の中で。ふわっと。で、

「これを使えたらいいなあ。キャプション画像いらないしなあ」

って思って。そしたら、そう、そうなの。『利他と流動性』の話が浮かんできまして。おぼろげに。朧げながら。

それからあれです。飛び石を移るように、

「これでいいのかな。これ大丈夫。こっちは大丈夫、ホントか。これもダメだったらどうしよう」

って思いながら、それまで考えていた異世界転生の話を捨てて利他と流動性に飛び移りまして。

後はもう、縋りつくように、利他と流動性の話考えてね。しがみつくように。

それで無事にこないだの合評会に『利他と流動性』っていう話を出せたんですけども。

で、出せたら終わりっていうのがあるじゃないですか。とりあえず、とりあえずまあ、第一段階は。第一段階終了。ゲート封鎖。まあ私なんて誤字脱字、そういうのが多いから見直しの期間は必要になりますけども。何度も見直して、修正して、調整して。吐いて飲んで、また吐いて飲んで、みたいなのがね。でも、とにかくその段階でもうあれです。

「もう異世界転生について考えなくていいんだ」

私の中のゲート封鎖。異世界転生フィルター終了。

ってなって。良かった。よかったー。『利他と流動性』に縋りついて。噛り付いてよかった。しがみついてよかったなー。ってなって、脳内ラインが一本消えた状態で、異世界転生生産ライン終了撤収。日常生活ラインのみの運用、運行。ってなって。心なしまあ肩の荷も下りて、

「あとはもう日常生活に注力して生きていける」

ってなって。

 

で、その時なんですけども、これその時の話。ある日、いつも使ってる浦和駅にね、いつもの通り行ったんですけども、あ、浦和駅って地下道みたいのがあるんです。コルソと伊勢丹とバスターミナルと浦和駅を繋いでるみたいな地下道があって、で、そこになんですけども、ある日、なんか、あれは、あれは何だろうな。

「ええ、何」

って。

コルソと伊勢丹とバスターミナルと浦和駅を結ぶ中間地点っていうのかな。ちょうど中間地点。四差路みたいになってるそのちょうど中間地点。

そこに、靴とかぬいぐるみとか、タオルとかかな。シャツとかもあったかな。そういうのが散乱してまして。無造作に。ある日、ある日の朝。で、ホントまだ朝早いから、早い時間だったから、まだ清掃してる人もいなくて、だから、散乱してたんです。ホントに。散乱。靴とか、ぬいぐるみとか、タオルとか、シャツとか、ディズニーの袋とか、辺り一帯に散乱していたんです。散乱。

んで、勿論、私は、

「怖い」

って思った。気持ち悪いとも思った。何かあったのかなって。思った。でも、日常生活がありますから。スルーしました。怖い。気持ち悪い。何かあったのかな。でもスルーしました。だって日常生活があるから。何があったのか、誰に何があったのか、あったのか無かったのか、知らないけど、でも、私にも私の日常生活があるから。

スルーしました。

あとそれは、その光景は『利他と流動性』のポスターとは違って写真には撮りませんでした。撮っていいものかわからないし。勝手にねえ。

とにかくスルーしたんです。スルーして浦和駅の方に行ったんです。

でも、今思い出したらふと、何だろうな、なんか、思う、思い当たるというか、思うんですよね。その光景。

「あ、あれはあの持ち主が、あの散乱の持ち主が、異世界から来た使者か何かに、連れ去られる瞬間の残骸だったんじゃないかな」

って。ほら、天は赤い河のほとりのユーリみたいにさ。

それから最近じゃないけど、まいばすけっとでミルコアっていう『Green DAKARA ミルコア』っていう飲み物を買ったんですけども。

ミルコアって異世界っぽくない?異世界の何かっぽくない?異世界名かもしれない。ミルコアって。

2022年10月30日公開

© 2022 小林TKG

読み終えたらレビューしてください

この作品のタグ

著者

この作者の他の作品

この作者の人気作

リストに追加する

リスト機能とは、気になる作品をまとめておける機能です。公開と非公開が選べますので、 短編集として公開したり、お気に入りのリストとしてこっそり楽しむこともできます。


リスト機能を利用するにはログインする必要があります。

あなたの反応

ログインすると、星の数によって冷酷な評価を突きつけることができます。

作品の知性

作品の完成度

作品の構成

作品から得た感情

作品を読んで

作者の印象


この作品にはまだレビューがありません。ぜひレビューを残してください。

破滅チャートとは

"ミルコアと浦和駅地下道"へのコメント 0

コメントがありません。 寂しいので、ぜひコメントを残してください。

コメントを残してください

コメントをするにはユーザー登録をした上で ログインする必要があります。

作品に戻る