二番目の象

昏睡状態(第5話)

大川縁

678文字

象、像、ゾウ。パオーンと鳴く象です。耳が大きくて、鼻が長い象です。神様だったり、凶暴だったり、の象です。背中に乗れば、きっと夢心地。象牙の鍵盤の滑らかさもまた夢心地。この詩を読むと寝覚めは最悪かもしれません。それでも唄うために生まれた、二番目の象です。

トウよへり トワよへら

トヨろへら トモろへり

 

僕は手品師の君からタネを奪い

僕は手品師の君

 

象に乗る

象は彼方から麻酔銃で連れてきた

 

トウよへり トワよへら

 

呪文は口数少なく

聴衆を防波堤に閉じ込めて 流し込む

黄色い血液 白い唾液 黒い胆液

 

興を邪魔する君だから

傍に置く

 

トヨろへら トモろへり

 

僕は蛇使いの君から毒を奪い

2015年11月13日公開

作品集『昏睡状態』第5話 (全17話)

昏睡状態

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© 2015 大川縁

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