奥多摩湖に臨む青梅街道のトンネルを抜ける。
夜明けとともに湖面は朝の光を反射して、街道を眩しく照らす。
夜間は通行禁止になる奥多摩周遊道路が、
湖の向こうの山なりに続いているのを眺めていた。
原始村という名のキャンプ場を探していたのだが、
地図によると所在地は山梨県北都留郡小菅村とあった。
小菅村は人口が八百人に満たない村で、
多摩川と相模川の源流があるという。
慣れ親しんだ多摩川は、ここまで遡るのかといたく感動し、
自転車を漕ぐペースも徐々にあがっていた。
旧青梅街道をさらに行くと、雪景色が一層深くなり、
雪解け水が流れ込む川は底まで透通っている。
いくつも峠道が続いたが、疲れは大したことなく、
むしろこのまま、どこまでも行けるような気さえしてくる。
そうして目的の原始村に辿り着くと、
一面純白の雪をかぶった縄文風のバンガローが、山中にひっそりと佇んでいた。
キャンプ場はあいにく営業しておらず、外から眺めることしかできなかったが、
それでも竪穴式と横穴式を模した造りがよくわかり、外観を楽しむだけでも満足できた。
傍に村営のバス停があり、日に九本は来ることになっているようで、
バスに揺られながら訪れるのも悪くないと思える。
元来た道を戻るのは名残惜しかったが、
朝の日差しを浴びながら帰る道程も、一層輝いていた。
"原始村"へのコメント 0件