僕の父に介護が必要になった
「 … 」
母は認知症の父を自分が介護すると言って、近くの在宅介護支援センターに電話し、ケアマネージャーと密に連絡を取り、自宅に介護に必要なモノを揃え…独りで頑張っていた
そんな母を僕は何となく疎ましく思ってしまい…しばらく実家に帰るのをやめていた
そして、母が倒れた
「 … 」
母は救急車で運ばれ、今は病室で寝ている
久しぶりに見る母の顔はやつれ、更に年老いていた
こんな母を僕は見たくなかった、見たくなかったんだ
だから言ったのに…!
父の介護を自分がするって母が言ったときに僕は何度も父を施設にいれようと提案してきた
それでも母は一歩も譲らず、僕に何の相談もなく、家に介護用ベットを置き、手すりなどを付ける家のリフォームを開始した
母のそのときの口グセは「お父さんを見捨てることなんて出来ない」だった
「 … 」
あのときもっと僕が強く主張して、父を施設に入れておけば良かった
こんなふうに共倒れになる前に…何もかもが悔やまれてしょうがない
「あなた、義父さんの様子も見に行った方がいいんじゃないかしら?」
「あぁ、解ってる」
妻は冷静だった
きっとうろたえている僕を見て、しっかりしなければと思ったんだろう
母を妻に任せて、僕は実家に向かった
玄関のドアを開けると、何とも言えない異臭とともに、父の声がした
「雅子!雅子!」
怒り口調で母の名前を何度も呼んでいた
「 … 」
久しぶりに訪れた実家は見るも無残だった
まず異臭は父の汚物が原因で、玄関に山積みされた新品の紙オムツと共にたくさんの使用済み紙オムツが入ったゴミ袋が置かれていた
床に敷いてあるカーペットにはタバコの焼け焦げた後がたくさんついていて、もう元の色が何色だったのか解らない
僕はおそるおそる父の声が聞こえてくる部屋に向かい、父の様子を窺った
「 … 」
そこにいるのは本当に父なのかと目を疑うような父の姿があった
「 … 」
僕は何とも言えずにそこに座り込んでしまった
「お前、誰だ?」
父は僕を見てそう言った
僕は何も答えられず、ホームレスのような外見の父にただただ、嫌悪を感じていた
「雅子はいないのか?」
僕はいてもたってもいられなくなり、実家を飛び出してしまった
嫌だ!イヤだ!もう嫌だ!
こんなのイヤだ!
・
その人は夜8時ぐらいに来た新規のお客様で、私は人見知りなところがあるから初めて逢うひとだと中々喋りかけられなくて…沈黙が続いてしまっていた
「あの…」
「 … 」
「私初めて逢う人だと緊張してしまって…うまく喋れなくてごめんなさい」
「 … 」
無口な人なのかも知れないけど、中々会話が続かなくって、私はちょっと凹んでいた
沈黙が続く静かな部屋で2人きりって何か疲れるなぁ…私はそんなことを思いながら、接客していた
ベットの上で私から攻めようとしたとき…
「責めていいかな?」
「え?」
「こんなことぐらいしか思いつかなかったんだ」
「…何がですか?」
「何かに没頭して、いろいろ忘れたかったんだよ」
「何を…忘れたかったんですか?」
「 … 」
静かに執拗に責めてくる、その舌や指は…私を快楽の絶頂まで導いていった
end
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