三月二十八日
新宿 ゆきさん 一万円
四月二十六日
池袋 りょうさん 一万円
五月十日
新宿 みかさん 二万円
五月二十日
錦糸町 かずみさん 一万五千円
六月二十六日
五反田 りりさん 二万円
朝起きて、お風呂入って、ご飯食べて、化粧して…
出勤時間に間に合うように電車に乗って…
「 … 」
天気が良くて、青空が広がっている
電車の窓から見える、そんな景色に私はいつも癒される
「あぁ、ありがとう」
私が電車に乗る時間帯は高齢者が多くて、席を譲る事が多い
何となくだけど、『終わってる』雰囲気である
そう、終わっているのである
この日常も私もこの車両の中も
今日はどこに行こうかな
新宿は飽きたし、ちょっと遠い所まで、足を延ばしてみるか
「失礼します」
「あぁ」
「二時からの打ち合わせについての書類です」
「解った、目を通しておくよ」
「何かありましたら、お呼びください」
「あぁ」
会社のこの個室は居心地は最高だが、退屈だ
まぁでも最近はそうでもないか、インターネットが使えるようになったからな
今日は立川に行ってみるか…
「おはようございます」
「おはよう、早速だけどネット予約入ってるよー」
「マジで?何時から?」
「二時が本指、六時も本指、んでラスト八時が新規のお客様」
「はーい」
ラストが新規のお客様って、疲れそう
初めて相手するお客様って、ものすごく緊張するのよね…いろんな所に気をつかっちゃうから
この手帳にまた女の子の名前が増えるな
「立川まで行ってくれ」
「はい」
今日の女の子はいくらで手に入るか、楽しみだ
「もうすぐお客さん来るよー」
「はーい」
念入りに化粧直しして、髪の毛も…
「ここで待っていてくれ」
「はい」
運転手に風俗遊びしてるなんて、絶対にばれたくないしな
ここからちょっと遠いけど歩いて行くか
「こんばんは」
「あ、初めまして」
写真より愛嬌があるな
「どこに行けばいいのかな?2人でそのままホテルに入ってくれって、店員さん言ってたんだけど…」
「じゃぁ近いんであそこに入りましょう」
彼女が指をさしたホテルは何とも古めかしく、フィリピンの売春宿を思い出した
「行きましょうか?」
そう言って、腕を組んできた彼女とあの時、フィリピンで買った女がダブった
「どうかしましたか?」
「いや…、じゃぁそこに入ろうか」
僕と彼女はその古めかしいラブホテルに入った
身なりはキチンとしていて、割と紳士的な態度…、大人しそうなオジサンだし、楽しく時間が過ごせそう
「君にはいくら払えばいいのかな?」
「え?」
「いくら払えばいいのか?って聞いたんだよ」
ホテルの部屋に入って、そう聞いてきたオジサンの顔はそれまで見せていた紳士的なモノではなくて…、私に恐怖と妙な高揚感が訪れた
「あの…」
オジサンの強い視線に私は、カラダを反応させてしまっていた
end
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