日常。(10)

日常。(第10話)

mina

小説

1,271文字

わざわざお金を払って、男の人達は私との時間を買いにくる

それは‥その時間はその人の自由に過ごす時間で構わないのだけれど

 

「何かたまにプレイしないで喋るだけで帰っちゃうお客さんっているよねー」

「あ、いるいる、そういう人」

「お金もったいなくないのかなー」

「いいんじゃない?私達がそこまで考えてあげなくても」

「そっか、そうだよね‥」

‥やっぱりあのおじさんだけじゃないんだ、

そういう人

 

そのおじさんは私と喋ってるだけで楽しいか

らそれだけでいいんだという人で‥

何だか私はいつも悪いような気がしてた。で

も同じ店の女の子で仲の良いユキちゃんが言

うには、

「え、楽じゃない?そういうお客さん」

みたいなんだけど、私はやっぱりちょっと気

が引けた

「 ‥ 」

いつも80分コースで私を指名して‥お金も

ったいなくないのかな‥?そのおじさんが来

るたびにそう思ってしまっていた

 

「今日はね、僕の自慢の手料理を作ってきたんだよ」

「え!すごい‥これ1人で作ったの?」

「うん、僕ね料理作るのが趣味でね‥」

池袋の狭いラブホテルの部屋に不似合いなお

弁当というか手作り料理が私の目の前に並ん

「君に食べて欲しくてね」

何だか妙な気分だった

「‥あのさ」

「うん?」

「何かいつもね、悪いなって思っちゃうの」

「何が?」

「だって、エッチなこととかいつもしないじゃない?」

「あぁ‥」

「お金もったいなくないのかなーって」

おじさんはフフッて笑った

「君は僕とエッチなことがしたいの?」

「 ‥ 」

言葉に詰まってしまった

「正直だね、君は。だから好きなんだけど」

ちょっと照れた。だって好きだなんて久しぶ

りに言われたから

「そうだね、君とはエッチなことしなくてもいいなって思ったからさ」

「 ‥ 」

「もう僕はこんなに歳をとってしまったから‥君との時間をお金で買ってるなんて、何て贅沢なんだろうって思ったり‥」

「 ‥ 」

「ごめんね、よくわからないことを言っちゃって」

おじさんは切なそうな顔をした。だから私は

おじさんに自分からkissをした

「 ! 」

驚いているおじさんの顔が愛おしく思えた

「こんな風にしちゃだめかな?」

「そんなことはないけど‥」

次におじさんの右手を自分の胸にあてた

「触ったり、舐めたりしてくれないの?」

おじさんの“何か”がハジけたみたいだ

おじさんは私の体をキツく抱き締めてきた、

そして乱暴に服を脱がされて‥

激しく胸を愛撫された

 

「あ、んっ‥」

 

胸の上を這っていた舌が徐々に下の方にくる

「‥そこも舐めるの?」

「 ‥ 」

おじさんの舌が私のクリトリスを触る

「んっ‥あ‥」

激しくて‥でも優しいおじさんの舌使いに私

はものすごくカンじてしまった

「そんなにされたらイッちゃうよ」

「‥気持ち良い?」

「うん‥あっ‥!」

 

私はイってしまった

 

「料理冷めちゃったね」

「もう少し一緒にいていいかな?」

「‥いいよ」

私は携帯電話から従業員に延長を伝えた

 

「お喋りよりエッチなことの方が楽しいでしょ?」

「‥そうかも知れない」

おじさんはまた私を愛撫し始めた

 

end

 

2014年7月15日公開

作品集『日常。』第10話 (全70話)

© 2014 mina

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