気持ち悪いやつ

諏訪真

小説

804文字

昔、俺が振った女が、バレンタイン当日に呼び出してきて……

掌編祭参加作品 その二
https://note.com/sait3110c/n/n6667047e3d08

グループLINEにこんな投稿が流れてきた。

 

西宮 山田からコクられたw

高島 マジ?

西宮 マジウケるw

北川 罰ゲーム?

西宮 大マジだった。好きです。って。キッショw

 

山田って誰だっけ……そんな奴いた気がするが、ぱっと思い出せなかったが晒し上げられた写真でようやく思い出した。それほどに存在感がない。ただ、顔だけはぼんやりと覚えているのは、たまに目が合うからだ。山田が俺の顔色を伺うように視線を投げてくる。媚の混じったような、卑屈な視線が正直ウザかった。

 

しかし腑に落ちないのが、山田がなぜ接点が無さそうな西宮に告白したのかだ。後になって気になり、西宮に直接聞いてみた。山田が何を言ってた? と。西宮はバツが悪そうにこう言った。
「実の所、ちょっと違うんよ。なんというかな……まあキショかったのは間違ってないんだけどな……」
「どういうことよ?」
「これ以上は言えんわ」と切り上げられてしまった。

 

二月十四日の当日、西宮が俺に言った。ちょっと放課後待っといて、と。アホらしいが、無視して帰ると絶対怒るからおとなしく教室に残ることにした。誰もいなくなった頃、教室にやっと西宮が入ってきた。

いや、違った。西宮の格好をしているが、全く違う。制服とかウィッグとかメイクで西宮のように模しているだけの別物だ。暫く眺めて唐突にある直感が湧いた。西宮の格好をしている山田だ、と。あの媚を含んだを目を見てそうだと思った。
「お前さ、なにやってんの?」

多分直感は当たった。山田と思しき奴は言った。
「西宮さんのこと、好きなんでしょう?」

は? と声が出た。こいつは重大な勘違いをしている。
「違うが?」と返すと泣きそうな顔になっている。言葉も繋げなくなった山田が俺に丁寧にラッピングされたものを渡してきた。暫く理解に時間を要した。腹落ちした時、壮絶な徒労感に襲われた。
「お前さ、本当に気持ち悪いな」

と言って受け取った。

2021年1月29日公開

© 2021 諏訪真

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