シックス・シグマ

ハギワラシンジ

小説

976文字

シー、セッド。
ぼくたちは友達で、仲良しだった。あさがおに挨拶して、お母さんのご馳走を食べて、女の子を助けたんだ。

 ともだちと遊ぶのが好きだよ。ぼくたちは仲良しだから、よく一緒にいるんだ。ぼくたちは空き地に秘密基地を持ってる。そこで毎日作戦を立てる。「あさがお抽出作戦」「夜のお母さん作戦」「純白象作戦」いろんな作戦だ。考えるのが楽しくて、夢中だった。
 ぼくたちはある日、近所に女の子が引っ越してきたことを知った。ぼくたちはその子に挨拶しようとして家に行ったんだ。すると中からおじいさんが出てきた。彼はひどく陰鬱したしわがれた低い声で「何か用かね」と言った。ぼくたちは「女の子に挨拶にきました!」するとおじいさんはようやくぼくたちを見て真っ青になって怒り狂った。
「ウグゴガラァ…ウグゴガラァ!」
 おじいさんはぼくたちを追いかけて叩き出した。すごくいたくてぼくは泣いた。
 その夜ぼくたちは家でお母さんのご馳走を食べてから、栽培してるあさがおに挨拶して、また出掛けた。女の子に挨拶したいから。あのおじいさんはおかしかった。何かあるのかもしれない。
 ぼくたちは女の子の家にこっそり忍び寄って、裏手の窓から女の子がいないか見た。すると一人小さな女の子がいた。一人部屋の真ん中で椅子に座ってすすり泣いている。顔は暗くてわからない。ぼくたちは大変だ、と顔を見合わせて急遽作戦を立案した。「妖精ちゃん救出作戦」だ。
 ぼくたちはまず玄関にいっておじいさんを呼び出した。おじいさんは「ドグッドグッ」と言いながら暗闇を纏って追いかけてきた。そして十分家から引き離したあと、開けっぱなしの玄関から入った。家の中は暗くてなにもなかった。誰もいなかったし空気も吸えなかった。大変だ。女の子が窒息してしまうかもしれない。ぼくたちは急いでたちあがった。
 部屋に入ると女の子がいた。ぼくたちは女の子をやさしく扱った。とても寒そうにしていた。「もう大丈夫だよ」「きみはすごく痩せてるね」ぼくたちは安堵から矢継ぎ早に言った。
女の子は「……!」といったけども聞こえなかった。もう一度きくと「ありがとう」と震える声で言い直した。よかった。ぼくたちは満足した。そして「ぼくたちはともだちゅら!」とついつい恥ずかしくなって、ともだちだから!と言おうとしたが、口が回らなかった。
 すると廊下の奥から老化したものが忍び寄ってくる。突進の音だ。ぼくたちは顔を見合わせて戦う決意をしたんだよ。
 あっ、全部はだめったら。(以下、判別不可)

2019年10月17日公開

© 2019 ハギワラシンジ

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