六 カスバート兄妹、追い込む
「わからないお前にはもう用はないかな」
「わたしは、マシュー、あなたとみたあの『歓びのしろい小路』の美しさは一生忘れない」
全身に「E抜きの焼き印」を施された少女は誰かへ嘆願するかのように跪き、祈祷の姿勢で涙を零しつつ述べた。擦りこまれた恥垢臭を後光のごとく揮発しつつ。
「それは呪いなのかな。ははあ。よろしい。忘れても忘れなくてもいいのだよ、アン。そんなことは、どっちだっていいことなのさ。お前は性根がやさしくて、この世界の美しさや他人の苦しみを我が事のように感じてしまう性質なのさな。だからANNだったのさ。ここで息絶えるといい。もう無駄なものをみなくてすむさ」
マシュー・カスバートはアンの肢体をもろ手でかき抱くとマリラの鼠径部に剛力で思い切り突き入れた。家畜の追い込みと同じで手なれたもの。づろん、とアンの無毛の頭蓋はマリラに吸収された。頭蓋もろともマリラの局部に打ち込まれ、極悪の膣筋に噛み裂かれたアンは尻穴と一本のスリット、その上部に頂くゆるやかにして美麗なヘアピン・カーヴは外気に晒したまま。マシューは卒然、この一本線という、世界における最上の「美しいもの」との永訣を惜しんだ。マシューの眼前にあり、なにかの液体を間欠泉のように放出しつつ微細に痙攣し生命がつくる「美しいもの」。生きていることと美の不思議がマシューの脳髄において攪乱される。
「やっぱり毛がないってのは通りがいいですね。さすがのレイチェルさ。このアンとやら、人間ではないにせよ、ひさしぶりにイキがよかったですね。最後はアレでいきますか?」マリラは莞爾と嗤う。
妹の言葉にマシューは現実、形而下に引き戻された。妹の言葉は決して下卑たものではない。夢想家たる自身を絶えず戒め律してきたマリラ。裏切る必要は毛頭ない。
応という返事も無しにアンのはかないスリットにがちり銃口のごとく己の頭蓋をあてがったマシューはここを先途と繁殖期の猛牛の勢いで押し詰める。
「がぁ、がらしゅうなあ! ぬんたらさあっそそんでもそれもーたがなぱぱらは外交あっ ちりぃっっっちりりぃぃしゃああっ しゃあんぬぺんたら!」
マシューがいたいけな少女の膣口を頭蓋でがつりがつり掘削しつつ前進するごとに、マリラは体表、というより己が膣内の振動で直に少女の苦悶を知ることとなりその甘美に痺れ懊悩しつつアンを撫でさする。少しは人語を話さんかと理不尽に怒る。勢いあまって拳を固めて殴りつける。炙られず秘匿された乳首を捏ねまわし捻りあげる。やりたい放題である。
マリラはスコットランド系父祖より伝授された日頃からの地道な鍛錬、現代ではトップ・アスリートとして呼称されるであろう厳しい修練において徹底的に鍛えてあげてきた膣筋の圧を「活け締め」の要領で徐々に高めていく。これがグリーン・ゲイブルズの締めだといわんばかりの誇り高く有無を言わせぬ強圧。応じるかのようにマリラに頭部を絡めとられたアンの四肢はちぎれ振り切れんばかりにばたつく。生きんとする生命の羽ばたきと躍動。かみさまのごとく荘厳にして無慈悲とも呼称されるマリラの膣圧は金剛石すら砕いたとはアヴォンリー中の評判である。
ジェリー・ブートは訛った仏語で畑を鋤きながら猥歌をうたったものだ。「アイツの穴はギロチンさぁ、はいったものにぃ、いのちはないぃ」
「はいらない、そんなものはいるわけないいっ」
とでもいうようなくぐもった途絶えがちの音信が窒息寸前のアンの尻穴の振動よりマシューにぷるぷると伝わる。
この凡庸な文学的修辞にまみれたウィズアウト-Eの尻穴の文言にマシューはさらにいきりたち血眼でこれでもかと己の頭蓋の追撃をかみさまに祈るかのごとく渾身の力で加え続ける。
「アン、わしゃあ、先からわかっていたよ。お前にはこれっぱかしの想像力もないことをな」
アンの尻穴その顫動は全てを拒むがごとき痙攣において世界になにかを伝えんとしている。
マリラは己が膣筋の最後の一噛みの合図を腹心たる兄マシューに送りつつ、アンに対しささやくようさながら子守歌のような霊歌を万感を込めうたった。
両の親なく
また係累もなく
そこにかみなく
“想像力”もない
そしてEもない
その乙女よ
あわれな乙女よ
アンという名の少女よ
そは裁かれんとして我が宮に来たるか
そは愛されんとして我が宮に来たるか
そは生きんとして我が宮に来たるか
そは死なんとして我が宮に来たるか
誓いの号令は鳴り
そはその命を絶たんとす
ならばそは
かみのいますを信ずるか
我のいますを信ずるか
マシューは大地に根を下ろした両肢をぶるりとふるわせ、なにかしらの啓示を受けたかのように頭蓋を攪拌させつつ、アンに対して裂帛の気合いとともに叫ぶ。
「お前ご自慢の想像力はどうした!」
吠え猛るマシューは一拍おいて返答を待った。無音。マシューはついにその壁を突き破ると、マリラは全霊を込めとどめの一撃を完了。
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