今月は新潮、文學界、群像、すばるの4誌が発売された。4誌の概観をここで紹介しよう。

新潮 2024年7月号

・石田夏穂「ミスター・チームリーダー」、池澤夏樹「台湾詩篇」、上田岳弘「関係のないこと」、円城塔「八幡のくじ」が掲載。

・九段理江+柴田元幸による対談「ポール・オースターが『東京都同情塔』に与えたもの」。先日亡くなったポール・オースターについて語る、ふたりの初対談。さらに、柴田元幸による追悼文「ポール・オースターの死」も。

・「第37回三島由紀夫賞」は、大田ステファニー歓人『みどりいせき』(一部掲載)。受賞記念エッセイも併せて。

・藤田周による新連載「料理の人類学のかたわらで」がスタート。

文學界 2024年7月号

・【創作】では、町田康「男花嫁」、古川真人「風呂の順番」、山下紘加「可及的に、すみやかに」、又吉直樹「生きとるわ」(短期集中連載第7回)が掲載。

・渡辺祐真による新連載「世界文学の大冒険」がスタート。第1回は「歴史学はどのように変化してきたか」。

・北方謙三×松浦寿輝による対談「創造の熱情は枯れず」。

・小林エリカ×中脇初枝による対談「いまに繋がる戦争を書く」。

群像 2024年7月号

・【「論」の遠近法2024】として、毎年恒例の批評総特集。小川公代「ケアの現在地――『虎に翼』から『エゴイスト』まで」、工藤庸子「文学ノート・大江健三郎 神話・歴史・伝承――『万延元年のフットボール』『同時代ゲーム』」、小峰ひずみ「議会戦術論――安倍晋三の答弁を論ず」、永井玲衣「せんそうを知っているわたしたち」、長﨑健吾「計画する先祖たちの神話」、福嶋亮大「量子化する〈戦後〉の認識――東アジアから考える」、水上文「批評と倫理」、三宅香帆「「夫」になれない男たち――『君たちはどう生きるか』『街とその不確かな壁』そして『【推しの子】』」、渡邊英理「未完の晩年様式、未決の「アジア的想像力」」、ユリ・アボ「編集後記、あるいは未完の物語」と10の批評を一挙。

・【創作】では、柴崎友香による連載「帰れない探偵 帰れない街の探偵」が完結。

・小川哲「小説を探しにいく」、酒井順子「習い事だけしていたい」、立川小春志「ストーリーワイズ」と3本のエッセイ新連載がそれぞれスタート。

・文×論×服のクロスオーバー「New Manual」。最終回は金原ひとみ「ディスコネクテッド」。

・安藤礼二「空海」、井戸川射子「無形」がそれぞれ最終回を迎える。

・唐十郎、ポール・オースターが逝去。島田雅彦、小野正嗣がそれぞれ追悼文を寄稿。

すばる 2024年7月号

・【小説】では、古川真人「間違えてばかり」が掲載。

・【特集:「古典」のチカラ】として、桜庭一樹×李琴峰×三宅香帆による鼎談「漢詩からひろがる」、俵万智×山崎ナオコーラの対談「現代の私たちだからこそできる古典の読みかた」、木村朗子による論考「『源氏物語』受難のとき」、渡辺祐真の論考「古典は誰もが使える最強のデータベース──和・歌枕・本歌取・季語・庭・引用・共感と驚異」、エッセイでは、安田登「漢詩をよむこと、楽しむこと」、小津夜景「抽斗に導かれた断想」堀越英美「古典の中の「おもしれー女」たち」、千早茜×石内都「傷痕の奥に見えるもの」が一挙掲載。

・【追悼:ポール・オースター】として、飯野友幸による「オンリー・コネクト」。

・『みどりいせき』で三島賞を受賞した大田ステファニー歓人と、書評家の豊﨑由美による対談「作家誕生」。