場所は再び冒頭の海岸へと移る。ブルームの視線の先で子どもたちを見守るガーディ・マクダウェルの視点で、また急激な文体の変化に出会う。育ちの良さ、教養を身に備えた彼女の語り口はこれまでとまた違ったものとなっている。ところが、一転ブルームの内心の独白になると彼は妄想たくましく様々に想いを巡らせて射精するに至る。
天変地異のような劇的な変遷がこの章の緩急をつけて読者を驚かせる。そこにつけて、海岸に上がる花火と射精を結びつけるという感性。改めてジョイスの変態ぶりを知ることができる章と言っていいだろう。
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