マッチングアプリ日誌3

おしゃれなコケシ

エセー

2,130文字

コケシが45歳でマッチングアプリ彼氏を作るまでの記録
―〇inderを垢BANされた話―
意外と役立つかもしれない、実体験アプリ情報

〇inderは詐欺サイトなのか? コケシは疑念でいっぱいだった。あの水原〇子ちゃんもやっているという〇inderである。有名アプリがまさか詐欺まがいのことをやっているなんて……。

コケシは登録12時間で〇inderをアカウントBANされたのである。1ヶ月分課金したにも関わらず。

時系列で説明するとこうだ。朝6時、早起きしたコケシは早速〇inderのアカウントを作った。写真は昨晩の内にスマホで自撮りしておいた。そしてその際、〇inder Plusという課金コースを2200円支払った。仕事に出かけたコケシは、昼休みに〇inderを開き〇inder Goldというワンランク上のコースにさらに課金、差額の1100円を支払う。合計3300円である。そして帰宅中の電車の中でプロフィールを追加入力していたコケシは、突然「あなたのアカウントは削除されました」という画面を目にすることになるのだった。

「こんなことて、ある?」何度も下スワイプして画面を更新させ、クルクルを見つめながらコケシはつぶやいた。「ばかやろう、まだ始まっちゃいねえよ」だったのである。本当にまだ何もやっていなかったのだ。誰一人としてマッチングどころか、メッセージのやり取りもイイネすらしていなかったのに3300円は支払ったのだ。これは詐欺としか言いようがないではないか。水原〇子ちゃんがブランドアンバサダーなのに?

コケシが課金したのにはわけがある。〇inderは基本、男女ともに無料で利用できる。男性は有料、女性は無料というマッチングアプリが多い中、〇inderは男性も無料なので利用者が多い。しかし無料プランだと最終ログインした場所が地図表示されてしまうという難点があった。コケシは過去何度か、付き合っていた男が別れ際にストーカーに変貌してしまった経験があった。そのため居住地を知られることには慎重だった。しかし〇inder Plus(2200円)に課金すると、ログイン場所は表示されず任意の場所に固定できるのだ。「そらな、付き合うってくらい信頼したら家は教えるんやけどな、初めて会う奴にはエリアすら知られたくないしなあ」話した内容から大体のエリアを特定し車で徘徊しながら家を探されたことがあるコケシなのである。「嫌な思いをするくらいなら金で解決や!」

〇inderのシステムは、お互いにイイネし合えばマッチングが成立しメッセージのやり取りが出来るようになるというもの。マッチングするまでは誰が自分にイイネしているのかは見えないよう隠されている。つまり大量にイイネすれば自分にイイネしている人をヒットしてマッチングすることになる。原理は分かるが「めんどいな。金で解決や!」〇inder Goldに加入すれば、誰が自分にイイネしているかが見えるようになり自分に来たイイネをイイネし返すだけでマッチングが成立する。うまい商売をしている。「チマチマやってる時間がもったいない。タイムイズマネーや!というわけでコケシは合計3300円を入金したのである。

その入金が一切、効力を発揮しないまま12時間で溶けてしまった。こんなことがあっていいのであろうか。コケシは必死で「〇inder アカウントBAN」で検索して問い合わせ先を探した。もうアプリにはログインすら出来ないので問い合わせ先も分からない。しかし出てきた検索結果はコケシを失望させるものばかりであった。いわく「Q:〇inderで突然アカBANされました。原因が分かりません。復活できますか」「A:よくあることです。〇inderは一切、アカウント復活できません。原因も教えてくれません。再度登録したければ、機種変更をして電話番号も新しくするしか方法はありません」なんということだろう。合計3300円は返って来ないのだろうか。考えてみれば3300円とは詐欺しやすい金額だ。300円なら簡単に諦める。3万円なら必死で取り返す。30万円なら警察に相談する。しかし3300円は……諦めることは出来るが悔しい額面だ。コケシには〇inderがほくそ笑んでいるように思えた。「どうせ色欲にとりつかれて課金した奴らだ、すぐ諦めるだろう」そんな声が聞こえてきたような気がした。「横暴な地主、許すまじ!」突如、小作人精神が沸いて出たコケシは執念深く検索し続け、ついに一筋の光を見つけた。yahoo知恵袋「Q:〇inderで突然アカBANされました」「A:最近、頻発しています。問い合わせ先はこちらのようです」コケシは早速、メールを送ることにした。検索している中で〇inderは米国企業なので云々、という情報を得ていたので日本語はなるべく簡潔にした。「購入日当日にアカウント停止されました。課金後、警告なく停止するのは問題がありますので2件分、返金してください」念のためGoogle Paymentsの画面スクリーンショットも添付する。ここまで作業したところで疑念が頭をもたげる。「この労力、3300円に見合ってるやろか」しかし自分の中の「理不尽に対抗するリトル小作人」に突き動かされてコケシはメールを送信した。3300円は返金されるだろうか。

つづく

 

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2022年7月15日公開

© 2022 おしゃれなコケシ

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