おうち時間

かきすて(第39話)

吉田柚葉

小説

2,001文字

矢井田瞳が好きでしたが、久しぶりに見ると流石に裸足で歌うのはやめてました。

やることがないのでもちばかりたべていた。しょうがつとはそんなものだ。年末にみんなで御所につよめの結界をはっておいたので、三が日くらいは出動するひつようがないとおもう。

ちょっとかぜっぽかった。きんちょうのいとがきれたせいだろう。なに、ただのかぜだ。

山岸から、新年あけましておめでとうという念波がおくられてきた。いまさらである。めんどうなのでむししていたら、こんどは荒谷から同様の内容の念波がおくられてきた。これ以上受信するとふゆかいなので、そこいら一帯にかるい結界をはって、こたつでうたたねをした。

めざめると、からだがあつかった。ばかをしたとおもった。寝室にいって、ベッドでよこになった。頭痛がした。しかしはんぱにねむってしまったせいか、目がさえてしかたなかった。アストラル体を解放した。からだがらくになるまでこのままでいることにした。

去年は、ことに物理的な戦闘がおおかった。にんげんせかいにおける金融マフィアたちのおこないが目にあまったためだ。あれだけの量のくびを狩ったことはここ百年でも類を見ない。

それでおもったが、いくら日本製でも、ナイフはナイフである。すぐに刃がだめになる。ことしもおなじことがつづくのであれば、くびのほねをへし折るだけでよしとすることを、上の連中に提案してもよいかもしれない。ナイフ代などたいした金ではないが、つもれば山となる。長老たちは、そのあたりのことをあまくみつもりすぎなのだ。

2022年1月15日公開

作品集『かきすて』第39話 (全40話)

かきすて

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© 2022 吉田柚葉

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