思考Log:No.8589934592
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この世に神というものがおわすのであれば、それはこの「Game」を執り行っている存在のことでしょう。そして、神は自らをファーザーと名乗ったのです。
あの11月28日まで、私は信仰心というものをすっかり忘れていました。そのような人間ばかりが85億余も地上にはびこったために、ファーザーはこのようなゲームを私に課したのだと思います。私の前には毎日正午(それはおそらくグリニッジ時間で)、一人の人物が連れてこられます。私は彼、または彼女のためにファーザーに祈りを捧げます。相手は祈ったり祈らなかったり何かをわめきちらしたりします。私達の間には大きな花が、そう、ガーベラのような花びらがたくさんある花が(正しくはそのような花の映像が)映し出されます。花は回転し、止まります。止まったところで、花びらが1枚ずつ落ちていきます。そしてまた回ります。花びらはやがて1枚になります。その1枚の花びらが向かっていない方、私たちの場合は、私ではない相手のほうが敗北ということになります。敗北したものはしばらくすると床の下に消えていきます。おそらく落ちるのでしょう。私はいつも祈りを捧げているので、落ちるところを見たことはありませんでしたが、悲鳴が下の方へと遠ざかっていくのですから、落ちてしまっているというのは間違いがないと思っています。人は負けると落ちるのです。奈落か、地獄か、どこへ行くかはわかりませんが、少なくともこの世で人生を続けるということにはならないものと思っています。どちらが花に選ばれるのか、そのルールはファーザーから明らかになってはいませんが、私は、より祈りが強い方が、この世に居続けることを許されるのではないかと思っています。その証拠に私は今日まで祈り続けることで生きながらえて来ましたし、純潔を守ることもできたのです。そして、これからも信仰がわたしを守ってくれることでしょう。
ファーザーは私を、私達を試しているのだと思います。堕落した人類が、どう生き残り、どのように再生するのか、それを試そうとしているのでしょう。花びらがどちらを選ぶか、それは運なのでしょう。そして幸運を呼び寄せるのは祈り。強い祈りが、私を導いてくれるのです。33人めの相手は、男でした。男はゲートから入ってくるとき、すでに裸でした。気がふれてしまったのかもしれません。祈りが足りなかったのでしょう。そして花びらは私を選びました。男は花びらに選ばれなかったことを認めることができなかったのでしょうか、しばらくその場にじっと立っていました。私は祈り続け、できるだけ男を見ないように努めました。26人目の男のように暴れだすこともあるでしょう。17人目の女は刃物をもって襲いかかってきましたが、落ちて消えました。この男も襲いかかってくるかもしれません。私は見ないようにしながらも、祈りながら警戒していました。そうして男は無言のまま裸で消えていきました。彼も祈れば残れたかもしれないのに、なんと愚かなのでしょう。そしてファーザーは純潔でない私よりも、純潔であり続ける私をお選びになったのです。
この奇蹟のような33連勝は、ただの運だけでは達しえないものだと私は考えています。ファーザーへの畏敬の念を祈りに込めて、込め続けて、それがついに届いたのです。私はこれからも勝ちづけるでしょう。祈りは全てに勝るということを証明し続けることが私の存在意義なのですから。回転する花びらに選ばれ続けるために、私は祈ります。祈り続けます。
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