一晩かけてアパートを清掃したあと、わたしはある計画を実行することにした。
休日といっても今日は落ち着かない。今日は父と母が来る。
チャイムが鳴る。心が締め付けられる思い。ドアのモニターを覗くと、四角い画面を覆い尽くすかのように父の、肩幅が異様な身体が映っていた。にたついた笑顔、ゴルフばかりして焼けた肌、黒光りする肌は沖宮より数段濃い。発言権がないと言っても、それは母に対してだけだった。娘には、傲慢な父として接している。
「開けろ」
父が馬鹿にしたような口調で命令する。声に身体が勝手にびくつく。すぐに玄関まで行きドアを開けた。
ドアの外には父と母が立っていた。ズカズカと家にあがりこんでリビングの椅子に座ると父は「茶」とだけぶっきらぼうに言った。母はじろじろと家を見渡し「ちゃんと掃除してるの?」と嫌そうな顔をしてつぶやいた。
わたしはキッチンでお茶を淹れはじめると父が母に向かって雑談をしだした。
「それでさー、今の二十代って、人としてどうなの? まともにコミュニケーションが取れない。飲み会に誘っても来ない。自分から学びに来ない。言うことを察してくれない。それを言うとパワハラだとかセクハラだとかでうるせえから」
母はゲラゲラと笑っていた。父はわたしに目を合わせると、ひとりごとのように喋り続けた。
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