無題(一)

浅間のん子

小説

158文字

あなたのどうでもいい日常のシーンを教えて下さい。

このままだと湯冷めしてしまう。夜風にさよならを言って私はベランダの戸を閉める。急に部屋の沈黙だけが聞こえる。時々窓はガタガタ言った。押入れの戸もそれに応える。隣の部屋から微かに笑い声が聞こえる。今日は誰か連れて来たのだろう。ああ、そういえばロールケーキを一切れ買ってあった。冷蔵庫を開けて、私はそれを机に持っていく。

2023年5月11日公開

© 2023 浅間のん子

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