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青いミルク2

青いミルク(第2話)

三沼薫

青い空に白い雲が溶ける。それは青いミルクだ。

小説

11,725文字

泣きたい時に泣けないってのはある種拷問に近いから簡単に号泣できる雌どもが羨ましくなる時がある。まぁ俺は簡単に泣くような女が腐ったみてぇな人間じゃねぇんだけどさ、たまには感動的なアニメやゲームで泣いたりしたいと思う時もあるのよねん。俺が泣いたのなんて赤ん坊の時ぐらいだろう、って記憶を想起してみると、イエスっていう答えが何処からか返ってきた気がした。しちゃったんだ。んでもって食事して昼寝キメた後に、妹の部屋に向かう。ご機嫌に鼻歌をうたいながら今日もユリの部屋をどう物色しようか考えてる俺ちゃん。隣の部屋だからすぐ着いちゃうんだけど、とりあえず俺にとっては途方もない長さに見える廊下。この距離感が俺と妹のあいだに隔たってる長い道のりか。クソだねマジでさ、ゲロだねマジでさ、チリだねマジでさ。確かに妹は俺に好意を寄せてないっていう明確な事実は理解できる。しかも他でもない俺ちゃんに嫌悪の念を抱いてるって感じでもある。好意の反対は無関心だから嫌悪してる状態から惚れさせることは出来るハズじゃね? んでもって妹の部屋に前に到着到着。試しにノックしてみても室内から返事はねぇ。この時間ユリは学校に行ってるから当然といえば当然なんだけどね。滑らかな柔肌をじかに俺のまん丸お目々で拝みてぇ。んでもってママから拝借した合鍵を使って妹の部屋のドアを開けて内部にするりと身体を滑りこませる俺ちゃんは前世は忍者だったに違いねぇ、って思っちゃう。壁通過の術、って感じで、妹の部屋に見参見参。んでもって室内の様子をねめまわすように見まわす。俺の視線で妹の部屋を強姦してんだ。これは間接的に妹とセックスしてる事になるんじゃねぇの、何て、んな訳ねぇか。壁紙はピンクに張り替えられてて室内も整理整頓が行き届いててベッドの上には可愛らしいぬいぐるみが鎮座してる。ぬいぐるみじゃなくて俺ちゃんを抱き締めて寝ればいいのに。生身の肉体はぬくもりがあるぞ、ってな感じでユリと抱き合って眠ってる場面を想像してる俺ちゃんの脳は痺れておかしくなりそうだ。回路だ、回路が正常に稼働してない。んで室内に設置したカメラを確認する。自室のパソコンで妹の生活を覗き見てる俺ちゃんの性的嗜好はおかしいのか。いやいや、この世で唯一まっとうな精神を持ち合わせてる俺ちゃんには死角がねぇハズだ。もちろん隠しカメラはまだ妹にバレてねぇ。俺は一安心し、とりあえずクローゼットを開けた。妹の服の中に飛びこんでクローゼットの中に充満した香気を嗅ぐ、嗅ぐ、嗅ぐ。本当は汗を掻いたばかりの妹の腋の匂いを嗅ぎてぇ。いつかそんな日が来ることを切に願う他ない、っていうかこの思考と精神と肉体を駆使して妹の心を絶対に手中に収めてやる。綿密に練られた俺ちゃんの計画の切れ端が空中を舞いながら俺に何かを訴えかけようとしてくるけど、俺ちゃんそんなの無視、無視、無視。警戒心の塊である妹の部屋を物色する時は侵入した形跡を残さないように注意しなくちゃならねぇけど、理性が言う事を聞かなくて歯止めが効かない時がある、ってかしょっちゅう歯止めが効いてない獣じみた俺ちゃん。匂いだ、匂いが鼻孔をくすぐる。抱きたい抱きたい抱きたい抱きたい抱きたい抱きたい抱きたい抱きたい抱きに抱きまくりたい。俺の性的欲求を一時的に満足、ってか麻痺させるために妹の下着を漁らなきゃならねぇ。その前に靴下を物色してそれの匂いを嗅いでみるけどまったく臭くなくて全然興奮しねぇ、ってのは冗談でちょっとだけ俺ちゃんの意識がオルガズムに近づいてくのが実感できる。靴下は前菜にすぎなくてメインディッシュはパンツだ。靴下を口に含みながらタンスの引き出しを開けると俺の眼球にぶちこまれた映像は色取りどりの丸められたおパンツ様たちだ。ブラジャーには目もくれねぇ、ってのはユリがAカップでスポーツブラをしてるから乳房に関してはまったく興味が湧かねぇからだ。パンツの大群のなかに手を突っこみ、その素晴らしいデザインの子供じみた布切れを取りだし、両手で端を持って広げる。パイナップルの絵が描かれてる黄色い下着で、使い古されてる一品でメインディッシュにはふさわしいじゃん。俺はそれを頭に装着すると忍者の真似をして両手を合わせて人差し指を伸ばすって言う忍者漫画の真似事をして遊んじゃう。楽しい楽しいお遊戯。んでもって深呼吸して芳香を吸引しまくってもう意識がぶっ飛びそうになり最高な気分だぜ。パンツ、パンツ、パンツ、パンツ、パンツ。んで犬並みに鋭敏な俺ちゃんの鼻孔は洗濯したハズの綺麗な下着にこびり付いた分泌液の匂いを逃さない、ってのは冗談中の冗談で、洗剤の香りしかしねぇでやがんの。やっぱ洗濯機からくすねたあの黄金の宝物には敵わねぇよ、マジでさ。でもでもでもでも興奮するもんは興奮するね、一応のところは、って注釈付き。拳銃の撃鉄が立ち上がるような幻聴が聞こえ、俺ちゃんのチンポコも立ち上がった。自慢のどでかいイチモツを妹の前で惜しげもなく晒して象の鼻の様なそれを前後左右に振って戯れたいぜ。ああ、ユリの使い古されたパンツの感触が顔面に張り付き、俺ちゃんの敏感な肌がその毛玉の付着した布の感触を察知する。慎重に行動しなくちゃならねぇんだけど、ママに見つかったら嫉妬されるから声をひそめなくちゃならねぇんだけど、俺が浸入した痕跡を残しちゃダメなんだけど、俺ちゃん興奮しすぎて無防備な振舞いに出ちゃう。出ちゃうんだ。んでもって出ちゃったのは白濁したあの液体。銃口からしたたり落ちる煙じみた液体を妹のマグカップの縁に満遍なく塗りたくっちゃう。俺の性癖はイカレてるのかねぇ、どうなのかねぇ、分かんねぇな、そうなのかな、って揺らぐ思考の密度は増してく。ユリっていう琥珀色の宝物は俺の手のひらの上で転げまわってる。そんな実感が、そんな実感がさ、俺の意識を天井にまでぶち上げてくれるのさ。脳天から噴出した快楽は天井に設置された照明に命中しちゃった。滑らかでクリーミーでマイルドで苦味のある妹の肛門の味を堪能したいけど、実際にはどんな味がするんだろう。まさかママの肛門みたく異臭がしねぇよな。思春期特有のエロチックな匂いがするに違いねぇハズだ。俺の鼻孔が爆発するみてぇな香り高い匂い、んでもって鼻孔から嗅覚神経を通して匂いの情報が脳にまで伝達されてオルガズムパーティー状態。乱痴気騒ぎをしようぜ、ママとパパとユリと俺でさ。んでもっでみんなで騒ぎ明かした後に残るのはさ、うらぶれた廃屋なんだ、って想像すると笑えてくるぜ。んで次に妹の爪切りを拝借して俺の指の先端にある爪を切ってく。もちろんティッシュの上で切るって言う余念のなさを発揮しちゃう賢い僕ちゃん。親指から小指に至るまで丁寧に切っていき、残骸をティッシュにくるんでポケットに入れて爪切りをもとの場所に戻す。爪切りの頭がどっちの方角を指示したのかをしっかり記憶してた俺ちゃんは、爪切りの頭を北北西に向けて置く。ああ、妹の爪を切った爪切りで自分の爪を切るってのは何とも気持ちよすぎで失禁しちゃいそうだね。俺は親指から切るタイプだけど妹は小指から切る派だ。親指党と小指党に別れちゃってる俺ちゃんたち兄妹。カメラで何時も見てるけど、妹が腰を曲げて足を持ち上げ小指の爪から切ってく様は可愛らしいの一言に尽きる。いつもカメラの設置されてる壁の方に身体を向けながら切るって言うサービスっぷりだ。無意識に兄である俺にサービス精神旺盛な振る舞いをするユリはやっぱ俺とは相性抜群なんじゃねぇの、って錯覚こいちゃう。妹の足の指を一本ずつおしゃぶりみてぇに口に含みてぇよ。毒のおしゃぶり、って命名した妹の足の指。んでもって俺ちゃんの足も舐めさせてぇ、っていう欲求がありまくり。まぁ時間が解決してくれる問題だろうけど、お預けされた犬みてぇでもどかしい気持ちだぜ。早く早く早く早く早く妹のすべてを手に入れたいぜ。足の指だけじゃなくて、うなじ、鎖骨、肩、腋、足、顔、髪の毛、ケツ、オマンコに至るまで俺の口でしゃぶり尽くしてぇ。手足を切断して、人工呼吸器を付けて俺の部屋に飾って毎日毎日鑑賞するのも悪くねぇけど、実の妹相手にそんな残酷な真似死んでも出来ねぇよ。いやいや死んで生まれ変わってまだユリと出会ったら出来る気持ちになるのかもしれねぇけどさ。妹の靴下を口に含んで味わう俺ちゃんの人生は何て退廃的なんだ! 廃れた世界にたった二人取り残されちゃったらどうしようか、俺が男らしく野性的に狩りをしてユリが女らしく家庭的に家事を担当すれば万事解決じゃね? 想像想像想像想像の連続で脳が許容量を超えて決壊し脳汁が頭蓋のすきまから溢れ出る、だなんてバカげた妄想にとりつかれる。靴下をポケットに入れてみてもいいが、ここでくすねたのがバレたら、妹が俺ちゃんの侵入に勘付いたら、ここまで組み上げてきた計画がすべて台無しになっちゃう。それだけは、それだけは避けなきゃならねぇ事態だ。俺は大胆さと臆病さを同時に兼ね備えた全国の兄の鏡だ。ここまで妹を愛することが出来るだなんて、普通の男には到底不可能だろうって自信過剰になっちゃう。妹が好きで好きで堪らねぇ。彼女の歯ブラシを勝手に使ったり、下着を被ったり、マグカップの縁を舐めたりするのはこの上ない快感、悦楽、刺激。この部屋にいると脳がどうかしそうなほどの圧迫感を覚えちゃう。酸素が足りてねぇのかな、でもでもユリは毎日早朝に窓を開けて室内の空気を入れ換えてるハズだ。この胸の苦しさは恋以外の何物でもないって次の瞬間自覚しちゃう。そして妹のノートパソコンを知覚。んでもってイスに腰かけて机の上に鎮座したパソコンを開いて起動させる。検索履歴やファイルをチェックしていくって作業はもう俺ちゃんの日課になってる。検索履歴は今流行りのアイドル系ユーチューバーの名前や、ファイルにはそいつらの画像。こんな下らねぇ男どもの何がいいのか理解不能な僕ちゃん。履歴や画像を削除したいけどそうしたら足がつくから何とか堪える我慢強い俺ちゃん。まぁ妹の趣味に口出しするつもりはありまくりだけどさ、直接言っても全然改善する素振りを見せやがらねぇのよねん。何で私が好きなユーチューバーの名前を知ってるの、って聞かれた時はちょっと焦って適当な言い訳をしちまった。まぁ俺が部屋に侵入したのはバレてないだろう。バレてたらとっくにママやパパにもその情報が行ってるハズだから今頃家族会議になってるのかもねん。俺ちゃんの妹は甘露、んで俺は犬畜生にも劣るゲスな男、って自覚が多少なくもない、いや無い。パソコンの中に新たな情報は無いかと懸命にチェックする俺ちゃん。妹の私生活はこの指先の長い綺麗な手の中に収まってる。後はユリ本人を手に入れるだけだ。流れるような動きで鍵盤を叩くピアニストの様な指さばきでキーボード―を叩く、叩く、叩く。そして俺は爆笑するのを抑えられなくて涙が出るほど大笑いしちまった。ママは買い物、パパはお仕事に出かけてるからまった問題はないんだけどさ、もっと慎重に振舞ったほうが良くないか俺ちゃんよ、ってちょっとだけ自戒の念が湧く。胸の内で大量の蛆虫みたく蠢いてるのは妹に対する愛情の念だけじゃねぇ。俺ちゃんだって色々なことを考えたり、様々な感情を抱いたりする人間の一人だ。まぁ主に考えてることって言ったら妹、メシ、オナニー、アニメ、ゲームに関することだったりするんだけどさ。ラーメンが食いたい、この部屋でラーメンが食いたいぞ我が愛猫のバロよ。バロとは妹が愛読する作家の名前から拝借したらしい、って記憶がありそうでなさそうである。バロはユリが誕生日に買ってもらった猫だ。俺はパソコンを閉じで今度は本棚に向かった。所狭しと小説が敷きつめられてるけど、読書なんかに興味のない僕ちゃんは作家の名前を見てもまったくピンと来ねぇ。モーム、デュマ、ユゴーだなんて何て滑稽な名前なんだろうって思っちゃう。外人の作家が多いってのが既知の情報だけど、たまに日本の作家の名前がある。でもでも夏目漱石や芥川龍之介や太宰治ぐらしか知らねぇ読書に興味のない僕ちゃん。本棚の端に不自然にスキマがある。それは丁度三百ページの小説を七冊くらい置けるスペースだけど、そんな事実は今はどうでも良いのよねん。それよりそれより妹は芸術家肌だ。クラシックや文学や絵画が好きらしいけど、俺はそんな下らねぇもんの何処が良いのかこれっぽっちも分からねぇよ、実際のとこさぁ。アニメやゲームやフィギュアの方がお芸術なんかより遥かに優れてるだろう、って思っちゃう。教養なんていらねぇのさ、教養なんて人間から考える能力を奪うだけの下らねぇチリみてぇなもんなのさ。だから俺ちゃんお勉強も大嫌いで大嫌いでまったくしてこなかった。でもでもでもでもその代わり自分で考える力は養われてきたった自負がある。んー俺ちゃんってば何て頭が良いんだろ。お勉強なんてのはさバカがすることなのさ。じゃあ成績の良いユリはバカに類する人間の一人なんだろうか、確かにアイドル系ユーチューバーが好きってのはバカの決定的な証拠な気がする。気がしちゃうんだ。まぁ妹は頭がビヤ樽みてぇに空っぽでもさ、その美し過ぎる容姿で帳消しになってるどころかお釣りがくるね。頭蓋っていうビヤ樽のなかで長期熟成してるものは一体何なんだろう。まぁそんな事どうでも良すぎて笑い死にしそう。この本棚をめちゃくちゃに破壊したいっていう衝動を抑えるのに必死だ。下らねぇ文学、化石となった娯楽、廃れたお芸術。学校では何をしてるのかはさすがの俺ちゃんでも感知できねぇけど、可憐なあの見た目だからさぞかしありとあらゆる男に言い寄られてるんだろうなぁ。今のところ妹がこの部屋に男を連れこんだ事はない。皆無皆無皆無皆無、爆笑爆笑爆笑爆笑。もし男を連れこみやがったら俺が直々にブチ殺してやる。虫よけスプレーで窒息死させてやる、ゴミみてぇな男を殺す時に得られる快感をオカズにしてオナニーぶっこいてやる。部屋をチェックしても男の気配はまったくねぇから一安心な俺ちゃん。俺だって殺人を犯すのはちょっとだけちょっとだけだけど怖いのさ。この恐怖心はスリルってことになるんだろうか、だなてバカげた事に思考を巡らせちゃう。すべての感覚が麻痺してる気がする。脳、精神、肉体、ユリ、俺を構成してるすべての要素が探査機みてぇに俺から切り離されて空中を漂ってる気がする。幽体離脱や体外離脱した人間ってのはこんな感覚になるんだろうか。俺は本を一冊くすねたい衝動に駆られたけど自制しておいた。自制の利く理性的な僕ちゃんに抱擁の雨を降らせてくれよ。抱擁の雨だなんて比喩、最近のアニメにも出てこねぇダサい表現だね。銃口だ、銃口が必要だ。すべての人間を殺すための拳銃が俺の手にあれば俺はもっともっともっともっと社会っていう束縛から解放されて自由を謳歌できるハズだ。柔らかな処女膜を俺の拳銃で貫いた後はどうする? そうだな、俺ちゃんは非処女になった妹と飽きるまでセックスに興じちゃうね、って自問自答の嵐、嵐、嵐。処女膜を貫通した経験がありまくりの俺ちゃんは処女の扱い方にも慣れまくってる。美青年な俺ちゃんから発生する重力が引きずりこむ雌ども。ギャルから清楚系美女から十代から三十代までありとあらゆる雌を食い散らかして来た罪深き俺ちゃん。そんな俺ちゃんはナルシストの気がありまくり。いつもいつもいつも鏡の前で何時間も自分の肉体美と整った顔立ちを飽きずに眺めてる。何ていうかさ、俺ちゃんって男は何時間見ても退屈しねぇのさ。こんな美青年の虜になる雌どもの気持ちも分からんでもないね、って理解を示しちゃう優しい優しい僕ちゃん。俺と結婚できる女は幸せだろう。史上最高の幸福を得られるだろう。モデルのスカウトを何度も受けたことがるけどすべて断って来た。下らねぇお仕事なんかしたくねぇ俺ちゃんは写真の前で滑稽なポーズを取るなんて死んでもしたくねぇ。鏡の前でも気取った仕草は絶対しないしね。たた立ってるだけで、ただ歩いてるだけで、ただ寝てるだけで、俺ちゃんっていう芸術品は様になってるのさ。あれー俺ちゃんってば一種の芸術品だったのーって勘違いしちゃいそうになるものの一人の人間であるっていう事実は変わらねぇ。ただ年老いても哀愁漂うイカした老人になることだろう。ロマンスグレーになった僕ちゃんを想像してみると口の端が持ち上がるぜ。いや、想像じゃない未来は創造するんだ。あれー今の名ゼリフじゃね? んでもって本棚から離れて部屋に入った痕跡を丁寧に消すと俺は部屋を出ようとした、ところで玄関の開く音がして妹の声がした。「ただいまー、ちょっと忘れ物しちゃった。誰かいる?」ヤベーヤベー妹が帰ってきちゃった。まぁこんな突発的な事態も想定済みの僕ちゃんは部屋の鍵を掛けてクローゼットに隠れる。大丈夫だよな、痕跡はすべて消したハズだよな、クローゼットを開けたりしねぇよな、何て考える小心者の僕ちゃんじゃないんだもん。俺の思考はこれ以上ないくらい冷静で視界は冴えてた。閉じたクローゼットの隙間から漏れるお日様の光をながめながら息をひそめる。んでもって鍵の開く音がして次に足音がしてその次に至高の音色である妹の声がした。「あったあった。良かった」愛してるぜユリ。んでドアの閉まる音がして妹は再び学校に戻って行った。学校をサボるような不良じゃない、って信じたいけど家の外ではどう振舞ってるのか分からねぇよ。まさか俺たち家族に秘密で男とラブホテルなんてお下品な場所に行ってるんじゃねぇだろうな、って嫉妬の念が胸の内側でほとばしる。後を付けるべきかどうか迷って今日のところは止めておいた。んでクローゼットを開けて神である俺ちゃんが妹の部屋にふたたび降臨降臨しちゃって、妹が何を忘れたのか確認しようとする。パッと見この部屋から霧みてぇに消失した痕跡は見つけられなかったけど、注意深く観察すれば分かるハズだ。机の引き出しや本棚を開けて確認する俺ちゃんだけど何がこの部屋から消えたのかすぐには分からねぇ。でもタンスを漁ってるとある物がなくなってる事実に気づいた。それは体操着だ。体育の授業はない日のハズだけど、部活があるからそのために取りに来たんだろう。ユリは陸上部に所属してて県大会でも何度か上位に食いこんでる。全国大会に出れるほどの実力はないと踏んでるが、足の速さにおいて彼女の右に出る者はいねぇだろう。運動音痴な俺ちゃんとは違って文武両道の妹と比較されて生きて来た、ってのは冗談で歳が離れてるから下らねぇ比較なんてされて育たったりはしなかった。まぁスポーツやお勉強の凄さってのがまるで理解できねぇ俺ちゃんは仮に妹が成績悪くてもまったく気にしねぇんだけどね。俺ちゃんは何て優しいんだ。運動も勉強も出来ねぇけど、その精神性だけは余りにも高潔だ。一体何時になったら妹を俺の精液ちゃんで孕ませることが出来るんだろうね。服をナイフで引き裂いて下着をずり下ろして強姦キメてやりてぇよ。そん時は俺はきっととっても穏やかな表情をしてることだろう。妹は兄の物なんだ、そうに違いねぇんだ、そう決まってんだ、この俺が決定したんだ。陸上競技をしてる雌は激しい運動により自然的に破瓜してしまうこともあるって知識が俺ちゃんの脳内に詰まってるけどそんな事態になったらこの拳銃で処女膜を破るって願いは叶えられねぇじゃねぇのかよ。ふざけんなよクソ陸上競技が、って逆恨みにも似た念を抱いちゃう。無理やりにでもユリに部活を止めさせるべきか、俺の命令なんて素直に聞き入れるのか、今のところは無理だ、って回答が俺の脳内に降臨してきちゃった。懐柔すれば可能かもしれねぇけど、現時点では不可能だね。女ってのはさ最初はこっちが尽くせば男に惚れて今度はあっちが尽くすようになるのさ、って経験で知ってる色んな女を抱いてきた俺ちゃん。モテにモテまくる俺は何てイカしててイカレた良い男なんだろう。もっともっともっともっともっともっともっともっと時間を掛ければユリの奴も間違いなくこの俺に惚れるハズなんだぜ。笑えてくるよな、あんな澄ましたメスガキが俺に篭絡されるなんて爆笑ものじゃねぇかよ。加速しろ俺ちゃんの思考。加速しまくって空気の膜を破壊し世界の果てまでたどり着け! んでもって柔らかな空気の膜を俺ちゃんっていうナイフで刺し貫き世界の果てにある宮殿をめちゃくちゃに破壊しろ! ゆるやかに、徐々に、少しずつユリは俺に惚れてくハズなんだ。そう信じれば、そう信じればさぁ、俺ちゃんそれを目的にこれから先も堂々と生きていけちゃうからさ。俺とユリの前に立ちはだかってる巨大な壁なんて一撃でぶち壊しちまう。膜じゃなくてサランラップでもなくて今んとことてつもないでかさの壁が兄と妹のあいだで仁王立ちしてるって自覚が多少なくもないのよねん。思考の糸を解きほぐし凶暴な精神をあぶり出して生きていきたいぜ。今日はもうこの部屋に用はねぇから立ち去ろうと思ったけど何だか名残惜しい。とりあえずユリが小学生の頃つかってたリコーダーをクローゼットの奥から引っ張り出して先端に口を付けて吹いてみた。楽しい楽しいお遊戯。獣じみた人間がオモチャにじゃれついてるって感じ。俺のオモチャはリコーダーでも靴下でもパンツでもねぇ、ユリ自身だ。最高のオモチャ、至高の快楽を得られる神の被造物、それを絶対に手に入れてやる、って息まいてみたところで現状の材料じゃ口説くには心もとない。ユリだけど落とすために様々な女をモルモットにして人体実験してきた。今の俺ちゃんには女心が手に取るように分かる、ハズなんだけど、ユリは他の女とは一味も二味も出来が違ってるのか何を考えてんのか読めないでいる俺ちゃん。ガキの頃からユリだけを好きだったけど未だに抱かせてくれる気配つぅか、手を握らせたり口づけさせてくれそうな感じもしねぇ。俺とは意図的に距離を取ってるみてぇな気がする。おかしい、何処で俺の数年かけて組み上げた計画が破損したんだ。いや、まだまだ分からねぇ、これから心も股も開いてくるハズだ。絶対にそうなるように仕向けてやる。静かに誓いを立てる俺ちゃん。女は冷たく突き放したあと手のひらを返して優しくするとその相手を意識する、ってな手法をユリにも取って来たけど今のところ効果はねぇ。もしかして俺は何か決定的な物事を見落としてるんじゃねぇのか、って懐疑的になっちゃう。ユリには好きな奴がいて俺にその事実を隠してるのかもしれねぇ。彼氏持ちの女を口説くのは俺ちゃんでも時間が掛かる時もある。その女に彼氏に対する不満があれば口説くのは容易だけど、彼氏に最高に満足してる雌を落とすのは一苦労だ。でもでもでもでもでもでもでもでもこの俺ちゃんが口説けなかった女なんていねぇ、捕食できなかった雌なんて一匹たりとも存在しねぇ。俺はブスは嫌いだから容姿の整った雌と寝て来たけど、ブスを落とすことで学べるものもあったのかもしれねぇな。まぁブスやデブなんて死んでも抱きたくないね、もしそんな奴らとセックスしなきゃいけない時がきたらこめかみを撃って自殺しちゃうね。俺の獲物はユリただ一匹だ。それだけが手に入れば世界で一番幸せな人間になれるに違いねぇんだけどさ、俺ちゃん今の生活には結構満足してんだぜ、って脳内でひとりお喋りして遊ぶ。自問自答、会話、コミュニケーション、自分と自分のね、って語尾に音符マークでも付けそうな勢いでご機嫌な俺ちゃん。世の中の女ってのはさ、俺の機嫌を取ってこびへつらうためだけに存在する代物なのさ。それはどんなに気の強い雌でも例外じゃなかった。ツンデレって部類に属する雌も、俺の巧妙な罠にはまって処女を散らしてきた。澄ましてる女がベッドの上では滑稽な表情に変わるのは何とも面白可笑しかった。もっと異性を大切に扱ったほうが良いってご親切にもご忠告いただいたけどそんなの無視無視。虫けらを無視するって韻を踏んでみるけど、俺にはラップのセンスがねぇな。まぁラップなんてカスみてぇな音楽とも言えねぇ下らねぇ騒音はアニソンの良さには到底及ばねぇのさ。ああ、アニメの中の女の子たちは何て可憐なんだろう。ユリにも勝る二次元の少女たち。本当はリアルの女じゃなくて、アニメやゲームに登場するような余りにも美しい少女たちを抱きてぇのさ。アニメってのは素晴らしい産物だね、って思っちゃう。時代の最先端を行くのがアニメやゲームや漫画で、それ以外の娯楽なんて廃れちまってる。それらの娯楽を摂取する超加速度的に速まった俺の心臓の鼓動音が爆音で音楽となって頭蓋の内側で鳴り響くのさ。二次元の少女に比べたら見劣りするけど人類の雌のなかじゃユリが頂点にいる、って感じるのは身内びいきだろうか。そもそも俺は何でこんなに一人の少女に固執してるんだろう、って疑問を抱いちゃう。それはアニメの中に行けない不満を、代替品である妹で解消しようとしてるのかもしれねぇ、って結論に行き着くまでに数秒の時間を要しちゃった。あの柔肌に犬歯を立てて肉を引きちぎり、深紅の血にまみれた肉片を咀嚼して飲みこみたいぜ。おびただしい量の血液があふれ出るんだろうな、でもでもでもでもそれは紛れもなく愛から生まれた行為だ。獣じみた行いだって人類には勘違いさせちゃうかもしれねぇけど、これが俺の愛し方なんだ。今まで抱いてきた女に噛みついたりはしなかったが、ユリ相手だからこそそういう衝動に駆られる時もあるのさ。ユリの内臓も食ってみてぇな、って感じで色々な妄想をしちゃって白目を剥きながら涎を垂らしちゃう俺ちゃん。裏返った眼球が可視してんのは天使みてぇなユリの裸体。んでもって俺ちゃんの妄想は留まることを知らねぇ。ユリの心臓をミディアムレアでフォークとナイフを駆使して食べてぇ、ってかそのままかぶり付きてぇ。テーブルマナーなんて糞くらえだって知ってる頭脳明晰な僕ちゃんの鼓動する心臓音をユリに聞かせてやりてぇぜ。俺はユリの机に舌を這わせて彼女の生活感が染みこんだ木の味を堪能しちゃった。ここでお勉強に励んでるユリちゃんを冒涜するみてぇな行為をしてるととってもとっても興奮してくる。置き土産に俺のウンコを放置して隠しカメラでユリの反応を見てみてぇけど、理性がそれを押しとどめた。その代わりに俺は全裸になるとユリのベッドに飛び乗って全身をこすり付けて遊んじゃった。ユリの匂いが染みこんだベッドから発生する香気を吸い込みながら一週間も風呂に入ってない俺の体臭を刻みつける。一週間もってのは冗談で、二日くらい入浴してねぇ程度だろう。前回いつ風呂に入ったか覚えてない痴呆症気味の僕ちゃん。まぁ昨日の昼飯のメニューすらも記憶にねぇから人間の記憶力なんてその程度なんだろう。つまり俺がボケてるって訳じゃなくてそれが普通なんだ俺は正常なんだ俺は理知的なんだ俺はこの家の王なんだ家族全員俺にひれ伏すべきなんだユリも例外じゃねぇんだ。いつか必ずユリっていう一つの城を篭絡してやる。必ず、必ずセックスにまで導いてやるって固く決心しちゃったね。ユリのベッドの匂いは鼻孔を直撃する素晴らしいもんだ。ここで一発オナニーぶっこくのが俺の日課だけど、今日はママ相手に精子を出し尽くしちまって残弾がねぇ。この大きなベッドに俺の拳銃で穴を開けたいって願いが聞き届けられる日は来るんだろうか、って感じで勃起したチンポコを布団にこすり付ける。そして精液が出ない絶頂にまですぐに達した。ティッシュがいらないら一石二鳥だね、ってご機嫌な俺ちゃんの意識は宇宙にまで到達しそうな勢いを発揮してやがる。広大すぎる果ての見えねぇ宇宙っていう空間で全裸で絡み合いながら流れてく、なんてそんな状況も悪くねぇ。じゃあ宇宙飛行士を目指そうか、って一瞬考えるけど、お勉強を沢山しなくちゃいけないから直ぐにその夢は断念した。夢は妄想するためだけにあって、達成するべきなのは目標じゃん。俺の俺の俺の俺の目標はユリを手中に収めて、従順な奴隷にするってこと。んでもってその準備は水面下で着々と進められてる。ユリよ、俺ちゃんはお前の排泄物だって食える。本当は俺のウンコを妹に食わせたい。もちろんその時は全裸のユリに首輪をして四つん這いにさせて犬のエサ用の容器にいれたウンチちゃんを堪能させちゃうんだ。喜んで涙を流しながら貪り食うかな、それとも吐きだしそうになりながら何とか飲みこむかな。しょんべんも飲ませたいね、実際のとこ。ってかありとあらゆる変態プレイをユリ相手に試してみてぇよ。そんな願望が、そんな願望がさぁ、足元から脳天にまでせり上がって空中で爆発して飛散物をまき散らしそうな勢いだぜ。ああユリ、俺のユリ、俺だけの妹、俺の所有物になるべき存在、俺の奴隷になる予定の雌。

© 2026 三沼薫 ( 2026年8月2日公開

作品集『青いミルク』最新話 (全2話)

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