自由民主主義平和平等党

ヘルスメイク前健

小説

1,615文字

2008年作。『唇は赤ければ赤いほど赤い』収録。

本日、自由民主主義平和平等党を結党いたしました。

男前田ケンサク党首が決断を下したわけです。

数々の辛酸を舐めてきた人物ですが、

国民の皆様の為に奮励努力することは請け合いです。

さあ、皆さん!

自由民主主義平和平等党でございます!

 

自由民主主義平和平等党!

どうかご期待ください。

自由民主主義平和平党!

是非、お誘い合わせの上、ご入党下さい。

 

さあ、ご紹介しましょう。

自由民主主義平和平等党党首・男前田ケンサク!

自由民主主義平和平党、万歳!

 

 

 

党首挨拶

 

私が自由民主主義平和平等党党首の男前田ケンサクでございます。

私どもが政権を取ったならば、皆様の幸福は約束されたも同然でございます。

 

国民の支持さえあれば、最高の気分!

国民の支持さえあれば、なんとかなる!

国民の支持さえあれば、快哉を叫ぶ!

私は嘘は申し上げません。

国民の支持さえあれば、私は幸せ!

国民の支持さえあれば、やりたい放題!

国民の支持さえあれば、なんだってできる!

 

 

 

 

ハッパー解禁

 

自由民主主義平和平等党により、日本国内に於いてハッパーの栽培・吸引が合法化された。

 

ランディ・バースが本塁打を放つと阪神甲子園球場は炎に包まれた。観客は超満員であり、場内は阿鼻叫喚の様相。そこにいる人間たちは皆、目を回す、回す回す、ぐるぐるぐる。

ボーッ! という炎は強くなるばかり。

目を回す選手観客球場関係者の中で只一人、目がギラリと輝く男あり。彼は見た。火を。生首が飛び交う夜空を。インテリヤクザを。四九から始まるバーコードを。頭からチューリップを生やしている女を。

不気味に輝く目を持つこの男、頭蓋内に脳の味噌が三分の一しか入っていない人間であった。頭皮に毛髪は皆無。彼は輝く目で見た光景を百パーセント認識できたのであろうか? 彼は頬に青筋を立てて鼻血を流し、涎を垂らした。バックスクリーン上の電光掲示板には「ツクバサン ノボレ」の文字しかなかった……。

 

この逸話は関西地方に昔から伝わる小咄であるらしい。

重要と思い、ここに記した次第である。

 

 

 

景気が良くなる

 

残念ながら現在の日本の経済状態は最悪である。

「最悪なんだから、これ以上悪くならないだろう」と考えている人もいるやも知れぬ。確かにそうだね。

でも、日本経済は「底なし沼」にはまっちゃったのかも! ズブズブと際限なく沈みゆく……。

え? 株価が上がった? へえ……。そんな事で一喜一憂している方々がいるのか。ふむ……。僕は株なんか持ってないわよ。だからピンと来ません。

株価が上がって僕の資産が増えた、なんてことはいまだかつてないので、無視!

「臨時ニュースを申し上げます。日経平均株価が本日、一気に一千万円を超えました!」

 

無視できなくなった。今や、日本中がお祭り騒ぎ。お祭り電車も各地で運行。我が日本、どんどん良くなってきている。何が何でどうなったのか知らぬが、日本経済が良くなっている。何故なんだろう? 僕は不思議な気分。

 

「黄金ノ国・ジパングノ復活デスヨ!」

 

なーるへそ。

 

 

自由民主主義平和平等党解党

 

我々、自由民主主義平和平等党!

いかがなる治世だったでしょうか?

 

我々、自由民主主義平和平等党!

残念ですが、このたび、解党をさせていただくことになりました。

 

自由民主主義平和平等党!

自由民主主義平和平等党!

自由民主主義平和平等党!

自由民主主義平和平等党!

 

支持者の皆々様、本当にありがとうございました。

 

自由民主主義平和平等党、万歳!

 

お別れの時間です。

 

自由民主主義平和平等党!

自由民主主義平和平等党!

 

自由民主主義平和平等党、万歳!

2023年3月26日公開

© 2023 ヘルスメイク前健

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