絶滅者 33

絶滅者 ー「わたし」と「ワタシ」ー(第33話)

hongoumasato

小説

1,438文字

ヤクザの最終兵器・アサシン達との血みどろの死闘が始まる。
劣悪で異常な環境下で育ってきた彼等は手強く、「ワタシ」は何十発もの弾丸を打ち込まれる。
それでも歯を食いしばり、「ワタシ」は戦いに臨む・・・

組本部の最も奥まった部屋は、二つに区切られていた。

 

ドアを開けて手前側にアサシン、その向こうに若松と賢之助がいる。

 

十人のアサシン達との戦いは、熾烈を極めた。

 

興味本位で透視を用いたことを悔いる。

 

アサシン達の幼年期・青年期は、異常の一言に尽きた。

 

親からの思い出が、体中にタバコを押し付けられただけの者。

 

隣の寝室で、生計を立てるために毎晩、男と寝ていた母親を持つ者。

 

父親に無理矢理犯された者。

 

児童施設で、老いた女性施設長に毎晩レイプされた者。

 

首吊り自殺した母親の小便と便を、雑巾で掃除した者……。

 

腐った人間達が作り出した腐った世の中で腐っていった者達。

 

彼達に感情など無い。

 

無論、善悪も無い。

 

機械の如く人間を殺し続けてきた彼達は、手強かった。

 

破壊する瞬間だけは、ステルスを一旦解除しなければならない。

 

そうしなければ、こちらの攻撃が相手を素通りしてしまうから。

 

アサシンの一人を斬り殺す。

 

ステルスで姿は消しているが、帰り血でワタシの体の輪郭が紅く浮かび上がる。

 

その一瞬を狙ってくる。

 

ワタシの柔肌に撃ち込まれる、二十発以上の弾丸。

 

トカロフ、マカロフ、ベレッタ、ショットガン、サブマシンガン……。

 

同士討ち防止のポジショニング。

 

的確なタイミングと命中精度。

 

ワタシの体から飛び散る鮮血。

 

体中に鮮血の噴水ができる。

 

激痛に支配される寸前、ステルスの「すり抜け」を起動。

 

床に倒れこむワタシ。

 

ステルスで誰もワタシを破壊できない。

 

全てがすり抜けるから。

 

この能力が無ければ、鉛の玉を体中に撃ち込まれ、ナイフで切り刻まれていただろう。

 

アサシン達はワタシの特性を把握している。

 

これまでの破壊に関する報道、一階でのヤクザ達との戦闘。

 

それらから情報を得ている。

 

常人なら信じない超人的な能力。

 

だが彼達は違う。

 

彼達は戦力評価をするだけ。

 

ただ、それだけ。

 

ワタシの超人的能力を奇異に思わない。

 

恐怖も抱かない。

 

彼達は、ただ依頼された「マト」を破壊するだけ。

 

こんな人間達も存在するのか……。

 

人を殺すこと。

 

人の命について考えること。

 

それらに全く興味を持たない。

 

かつて幼少の頃、彼達が周囲の人間から顧みられなかったように。

 

少年時代から、世間にその生存を疎まれ続けたアサシン達。

 

彼達は知っている。

 

人間なんて、その程度の動物だと。

 

その命に、価値は無いと。

 

だから彼達は手強い。

 

平和、人権と耳障りのいい言葉を念仏のように唱えていれば、本当にそんな世界が実現すると妄想を抱いている人間達とは、一線を画す。

 

生き残るために、真に必要なもの。

 

それは絵に描いた理想にあらず。

 

力。

 

他を凌駕する力。

 

それを使いこなす能力。

 

残りのアサシン、九人。

 

全能力を駆使し、破壊し尽くす!

2019年2月21日公開

作品集『絶滅者 ー「わたし」と「ワタシ」ー』第33話 (全46話)

© 2019 hongoumasato

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