オナ子宅にて
<ほりゃあ>
山形県鶴岡市の閑静な住宅街の一角にて雄たけびがとどろいた。
「しかしオトウさん。最近のオナ子はどうしたんでしょう」
「まあ、あの年齢だからね。難しいな。ほんとに。なにを考えてるんだか」
<ほりゃあ>
「けれどおかしいですよ。部屋には入ろうともせず二日も家を空けっぱなしにして。リビングなんて、オナ子に占拠されてますし」
「あのあれだね。最近はやりのプチ家出? まあ、あの子はあそこで毎晩、何やってたんだか。パソコンなんて与えるべきじゃなかったな」
「私はそれなりに理由は分かってるんですけれど。オトウさん、あなた眠ったふりして、夜中の二時過ぎになると毎晩オナ子の部屋行ってたでしょう」
「ぼくわかんない」
「この件については、きちんと機会を改めてお話していただきますからね。なんか、ヘンな声、聞こえません?」
<ほりゃあ>
「また近所の若い連中が暴れてるだけだろ。気にしないで寝るか」
「そうですね」
<ほりゃあ>
オナ子宅の玄関、かっちり閉ざされたスチール製の引き戸をぶち破り闖入してきた五人の正体不明の集団。そこにはなぜか娘であるオナ子まで含まれている。
「ちょちょちょっと、いったい。なんなんですか」
「カアさん、警察だ」
「いやいやお父様、ここはひとつこらえて。こらえて。ここで少しコアの実験が行われることになったので。まあまあお父様、これは誉れ高いことですよ」
腹筋を怪しく蠢動させながら半裸体のtarouが断定的に説明する。
「実験?」
「融和と炸裂ですよ。まだ分からないんですか? あんまりなめてると突入させますよ。はいあなたはこれであなたはこれね」
オナ子の父親はゴングをもたされ、母親はタイマー係りとなった。
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